今回の記事は知的障害についてです。
発達障害やダウン症においても、知的障害が伴う場合があり、その多くはADLと呼ばれる生活能力の判定やIQでの判定が基準となります。
軽度から最重度の判定があります。
知的障害のお子さんの場合、どういった特性があるのでしょうか。
知的障害とは
知的能力の発達が同年代の人と比べて低い水準にとどまっているため、日常生活に支障が生じている状態のことです。
正式な定義としては知的機能障害が発達期である18歳以下にあらわれ、日常生活に支障が生じているため何らかの特別な援助を必要とする状態にあり、標準化された知能検査によって測定された結果で「IQが75以下」の人のことを言います。
医学や心理学では精神発達遅滞と表記されます。
障害度別の特徴
知的障害は程度により軽度から最重度に分けられ、知能のレベルや言語理解などの能力に大きな違いがあります。
そのため支援方法も大きく変わってきます。
軽度
知的レベルは中学校レベル。学校不適応やいじめの対象になりやすい。
身の回りの動作(日常生活行為)は自立。情緒的・社会的に不安定なため、結婚や育児に対する能力の欠如や文化的伝統や慣習に従うのが困難。
中度
知的レベルは小学校低学年レベル。身の回りの動作や運動能力の低下、基本的な生活技能を習得するための訓練が必要になる。
成人しても自立した生活ができず、てんかん発作、神経学的所見、身体障害を伴いやすい。
重度
知的レベルは小学校低学年レベルの学習障害。コミュニケーション能力に問題があり、基本的欲求が伝達できるほどの言語レベル。
顕著な運動障害や欠陥があり、臨床的に著しい中枢神経系の障害あるいは発達障害があるが、訓練によりできる事が増える可能性がある。
最重度
知的レベル 言葉を理解できない。
要求あるいは指示を理解できない。他者への対応能力がきわめて制限される。
ほとんど動けず非言語交流もほとんどできない。
常に援助と救援を必要とする。重い身体障害、てんかん発作、運動障害や神経症状を伴っている。
知的障害の特性
知的障害には学習や運動発達などにおいて以下の特性があります。
物事の動機の低下
知的障害では動因と言われる物事の目的を行動に起こす力が未発達又は低下している傾向にあります。
動因も1次性動因と2次性動因があり、1次性動因は食欲などの先天的な欲求であり、2次性動因は「お友だちのようにお箸で食べたい。」や「算数でいい点を取りたい。」などの学習性の欲求になります。
この2次性動因は社会性との発達に関わるため特に低い傾向にあり、知的障害が重ければ重いほど1次性動因も低下します。
運動能力の発達における特性
一般的に姿勢保持の筋肉や能力が低い傾向にあり、全体的な基本の運動能力が低いとされています。
機能的な座位の発達も遅れがちなため、座りながら手で何かを探したり作業したりすることが苦手です。
学習における特性
知的障害の人の学習は、外界からの「見る」「聴く」「触る」などの視覚的、聴覚的、空間的な手掛かりが必要な要素としてあります。
ABA分析といわれる応用行動分析学の観点から、学習への動因を高められるように褒めたりご褒美を与えたりの行動を強化する刺激を準備することが大切です。
→ 【ABAとは】お子さんの行動をフレームワークで分析する方法を紹介!
社会性の発達における特性
学校生活において、日常生活や地域生活について学ぶ時間や機会が少ない傾向にあるため、遅れがちです。
家庭や放課後等デイサービスなどの福祉サービスを利用して、そういった機会を学校以外でも作っていくことが大切になります。
【放課後等デイサービス①】放課後等デイサービスとは?
まとめ
知的障害には軽度、中度、重度、最重度があり、それぞれ知的レベルや能力も違い、支援内容も違います。
また、特性としては社会性、運動能力、学習の発達の遅れがありますので、お子さんの現状としっかりと向き合い、何が得意で何が苦手なのかを把握したうえで1つ1つチャレンジしていきましょう。