柔らかい食べ物の普及もあり、現代では、これまでになく「よく噛んで食べない」習慣が身に着いてしまっていると言われています。
さらに、発達障害などを有するお子さんの場合は、食に関する障害も有している可能性があるとされており、「よく噛んで食べない」という状態に拍車をかけてしまっていると言えそうです。
今回は、このような早食いの習慣が治らないお子さんを対象に、その状態を改善できないまま大人になってしまった場合のデメリットや、改善するにはどうすればよいのかについて、ご紹介させていただきます。
低下する現代人の1度の食事に要する咀嚼回数
まず、発達障害の方に限らず、現代の日本人の傾向として、咀嚼回数が低下しているとされています。
現代の日本人の1度の食事での咀嚼回数は、約600回とされています。現代より前の咀嚼回数と比べてみましょう。
・弥生時代の1度の食事での咀嚼回数=約4,000回
・戦前の1度の食事での咀嚼回数=約1,400回
このように、戦前の頃は、現代の咀嚼回数の約2.3倍となっており、よく噛んで食べることが普通であったと言えますね。
では、なぜ、現代人は昔に比べてよく噛んで食事を摂らなくなってしまったのでしょうか。その大きな理由は、以下とされています。
・柔らかい食べ物の普及
例えば、インスタントラーメンの普及など、とかく現代人は昔に比べて、柔らかい食べ物に囲まれるようになっています。
このため、昔に比べて、噛む必要がなく消化できるので、自然と「よく噛んで食べる」という習慣が身に着かなくなってきてしまっていると言えますね。
このように、発達障害の方に限らず、現代人は、よく噛んで食べるという習慣が身に着きにくくなっているので、その影響から、早食いに繋がってしまっていると言えます。
ここまでを抑えた上で、発達障害の方などの精神疾患を有する場合に生じるとされる、食の困難について、次にみてみましょう。
発達障害などの何らかの精神障害がもたらす食の困難について
発達障害の方などの何らかの精神障害がもたらす困難の1つに、食の困難が挙げられています。これは、例えば、以下のような症状を示すことがあるとされています。
・口いっぱいに食べ物を詰め込んでしまう
・よく噛まないで飲み込んでしまう
このように、まず、食べ方に関して、健常児と比べて困難な面がより顕著になっていると言われています。これは、以下のような食べる環境にも影響すると言われています。
・いつもの慣れた場所以外で食事を摂ると、上手く食事を摂れなくなってしまう
・見知らぬ人が同席していると、談話をしながらの食事となってしまい上手く食べられない
さらに、食べ方に加えて、以下のように、食べ物に関しても、偏食の問題があるとされています。
・トマトやピーマンのように単色のものは食べられない
・形が違ったり、いびつだったりすると食べられない
このように、食べ物に関して、好き嫌いがはっきりしてしまう傾向があるとされており、それが偏食に繋がる可能性が、一部の識者から指摘されています。
このように、食べ方、食べ物に関して、感覚過敏ともとれる症状を示しやすいとされることから、発達障害の方などは、それが結果的に早食いにも繋がってしまっていると言えますね。
では、この早食いを改善できないまま、大人になってしまうとどういったデメリットが生じてしまうのかについて、みていきましょう。
「早食い」を改善できない場合のデメリットについて
太りやすくなってしまう
早食いは、太りやすくなりやすいとされています。
これは、これは、よく噛んで食べることは、血糖値が上昇して満腹感を司る中枢神経が刺激されるので、食事を摂りたいという欲求を抑えることが出来るという仕組みに関係しているとされています。
そのため、咀嚼回数が少ないと、満腹感を得ることが出来ない為、必要以上に食事を摂ってしまい、結果的に太りやすくなってしまうことを指し示していると言えますね。
平成21年度の国民健康栄養調査によると、肥満度と食べる速さの関連性を調べた結果、男女とも肥満度が高い人程、食べる速さが「速い」人の割合が多く、「遅い」人の割合が少ないとされています。
このように、統計調査でも明らかとなっている事実となっているように、早食いを改善できない場合は、大人になってからも太りやすくなってしまう恐れがあると言えますね。
健康上の問題が生じやすくなってしまう
早食いは、様々な健康上の問題を生じ易くさせてしまうとされています。
これは、先述の通り、よく噛まないことにより、太りやすくさせてしまい、必要以上に食事を摂るようになってしまうため、結果として、早期に糖尿病を発症してしまう恐れがまず挙げられます。
さらに、よく噛まないことで生じてしまうとされる健康上の問題は、多数あるとされています。例えば、
・高血圧
・高尿酸血症
・虚血性心疾患
・過食症
・虫歯
etc
となっており、よく噛んで食べないことで、これらの病気になりやすい体質になってしまうとされています。
大人になってから、病を併発してしまうと、回復にも時間がかかってしまたり、最悪な場合、改善できない体質になってしまう可能性もあるので、出来れば早期から、よく噛んで食事を摂ることを習慣化させ、必要以上に食事を摂らなくて大丈夫な体質にしておいた方が良いと言えますね。
マナーがない人とみなされてしまう恐れがある
早食いは、公式な場でそれを行うと、マナーがない人とみなされてしまう恐れがあります。
これは、例えば、職場で、上司と食事を摂る機会を想像していただければ、よりイメージし易いかと思います。
上司と食事を摂る際に、まずどういった食べ方をしているのかという点は、意外とみられている点となっています。
この食べ方があまりに早食いになってしまう場合、何らかの不快感を相手に与えてしまう恐れがあり、そうなってしまうと以下のようなイメージ像が、例えそうでなかったとしても、勝手に形作られてしまうことも考えられます。
・親のしつけがなっていない→だらしない人と思われてしまう
・マナーに配慮できない→仕事を信頼して任せられないと思われてしまう
まだ、同じ職場内であったら、もちろんこういった所作に関して、全く気にしない人もいるので、そこまで心配する必要もないと言えます。
しかし、これが顧客との場合、よりマナーが重要視される傾向があると言えます。
例えば、商談後にお昼を顧客と一緒に摂るという流れになった場合、食べ方を通して、相手に不快感を与えてしまうと、成立しかけた商談が破断になってしまう可能性もあり得ます。
これは、早食いに限らず、箸の持ち方などの食べ方に関する全般的なマナーを問われているので、早食いを改善させるのと同時に、基本的な食べ方のマナーも習慣付けられるとより良いといますね。
では、ここまで早食いがもたらすデメリットをみてきましたが、具体的にどうすれば、これらを改善させることができるのか、みてきましょう。
「早食い」を改善するにはどうすればよいか?
食後にガムを噛むようにする
食後にガムを噛むと、咀嚼回数の不足を補えるとされています。
そのため、食事を摂らずに、満腹感を得ることが期待でき、早食いがもたらす食事回数の増加を防ぐことができるとされています。
さらに、ガムを噛むと、咀嚼回数の低下を補えるだけではなく、唾液の分泌量も増加させることができるとされています。
唾液には様々な抗菌物質が含まれているとされており、これが歯周病の予防にも効果的とされています。
また、歯の再石灰化の防止にもなるので、虫歯ができにくくなることにも期待できます。
このように、早食いが顕著な場合は、まず、食後にガムを噛むようにしてみても良いかもしれません。
特に、糖質0%のものや、キシリトール含有率が高いガムがオススメとなっています。
1回の食事に時間をかける
早食いは、1回の食事に費やす時間を意識的に増やすことで、改善できるとされています。
具体的には、以下のような行動が、食事の時間を増加させることに繋がるとされています。
・ひと口の量を減らしてみる
・食事の時間はスマホやテレビを消して、食事に集中してみる
etc
ひと口の量を減らしつつ、噛んで食べる習慣を身に付けることで、じっくり食事をすることができ、それが食べ過ぎを防止し、少ない量で満腹感を得ることにも繋がります。
また、食事の時間は、スマホやテレビを消して、極力、食事に集中してみても良いかもしれません。現代はスマホの普及や、アプリ全盛の時代であり、超情報化社会となっており、それが、食事の時間を削ってでも、情報の取得や消費に費やしてしまっている面もあります。
そのため、食事の時間はしっかりとその事だけに集中できるような環境で、食事を摂るようにしておくと、早食いの改善にも自然と繋がっていくと言えますね。
このように早食いが顕著な場合は、1回の食事に費やす時間を多めにとってみることで、それが改善に繋がる可能性が高くなっています。
最初は難しいので、徐々に食事の時間を増やしてみても良いかもしれません。
専門の訓練サービスを活用してみる
これらの自助努力で、早食いの改善が見込めない場合は、専門の訓練サービスを活用してみることをオススメ致します。
放課後等デイサービスPolaris(ポラリス)教室では、発達障害や知的障害を有しているお子さんを対象に、お子さんの働く力を養うために、様々な訓練サービスを提供しています。
これは、早食いに関しても例外ではありません。
具体的には、以下のような訓練サービスの内容となっています。
・小さいスプーンを使用するなど、食器類から食べやすい物をピックアップしている
・食事も小分けにして提供するなど、食べやすく工夫されている
・噛む回数を専門のスタッフが一緒になって数えてくれるので、安心して取り組める
・訓練がストレスに感じないように工夫されている
個人やご家庭だけでの改善に向けた取り組みには、時間が中々確保しにくいため、継続させるのが難しい面がどうしてもあります。しかし、このように、合同会社ポラリスが提供する訓練サービスでは、スタッフがお子さんと一緒になって、早食いに関する行為の改善に取り組んでいるので、お子さんも自然とその訓練に慣れるようになっています。
早食いを改善させるために、食器から、食事の提供方法まで、細かなサービスを提供しており、さらに、スタッフが一緒に取り組んでくれるので、客観的に訓練を指導してくれるという安心感を持ちながら、着実に改善効果を期待することができます。また、スタッフが、一緒に噛む回数を明るく歌のように数えてくれるので、ストレスを軽減し、楽しみながら訓練に取り組めるようになっています。
結果として、これらの訓練サービスで、よく噛んで食事を摂る習慣を身に付けることができ、その後は、ご家庭でその習慣を継続すればよいだけとなっています。そのため、まずは、よく噛んで食べることを習慣化させたいと思っている方は、ぜひPolaris(ポラリス)教室の訓練サービスを活用してみることをオススメ致します。
まとめ
早食いを改善できないまま大人になってしまうと、太りやすくなってしまったり、様々な健康上の問題を誘発し易くなってしまったり、マナーがない人と思われてしまったりなど、様々なマイナス要因の発端となってしまう恐れがあります。そのため、極力、行為を習慣化させやすい子供の内に、早食いの習慣は、改善させておいた方が良いと言えます。早食いの習慣は、食後にガムを噛んだり、1回の食事に時間をかけるようにしたりなど、工夫次第で改善させることができます。しかし、自助努力での改善が厳しい場合もあるので、その際はぜひ、放課後等デイサービスPolaris(ポラリス)教室の専門の訓練サービスの活用をオススメ致します。ぜひ、これらの改善に向けた取り組みを通して、早食いを子供時代に改善し、将来、良い食生活を過ごせるようになっていただければ幸いです。