特別支援学校とは、特別支援教育をおこなう専門の機関です。

障害のある子どもたちの自立や社会参加を支援するために、子ども一人ひとりに目を向けて、その子にあった必要な教育をし、本来の力を高めます。

また、生活や学習上の困難を改善・克服するための適切な指導や支援をおこなう場です。

障害があるお子さんをもつお母さんは、特別支援学校に入学させなければいけないのか、躊躇したことがあるでしょう。

そこで、特別支援学校はどういった子が入学するのか、特別支援学校での教育上のメリットをお知らせします。

特別支援学校はどの障害でも入学できる?

聴覚障害、視覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱・虚弱体質のお子さんが入学できます。

ただし、基本的に、重度の障害が見られるお子さんです。

軽度であったり、知的障害を伴わないADHDやLD、アスペルガーは通常の学校でも学習できるとされています。

自閉症スペクトラムのなかでも、知的障害のある「自閉症」の子は入学することが多いです。

自閉特性に向けた教育もしっかりおこなってくれるためです。

基準としては、生活を自立しておこなうことができない、社会生活が非常に困難であるとき、特別支援学校をすすめられるでしょう。

くわしくは、障害ごとに基準が分けられています。

文部科学省HPをご確認ください。

特別支援学校での教育のメリット

特別支援学校だと、「高校卒業の資格をもらえない(大学入学の資格はある)」「通常級に通う子たちとかかわりがあまりない」などデメリットもありますが、メリットはお子さんや保護者にとって大きいものです。

①障害に合わせた教育を受けられる

子ども一人ひとりの障害や発達段階に合わせた、教育を受けられます。

知的障害のある子には、小等部(小学校)で、日常生活のし方やマナーなど基本的なことを教えます。

視覚障害をもつ子には、点字の読み取り方を教えたり、聴覚障害のある子は手話を学んだりと、一人ひとり、伸びやすく生きやすく教育してくれます。

②「自立活動」の時間がある

普段から障害などに合わせた教育をするうえ、さらに障害による学習や生活上の困難を改善・克服するための時間を設けています。

たとえば、肢体不自由の子には、体の動かし方のサポートや、コミュニケーションの力を育てます。

病弱・虚弱体質の子には健康面のサポートをするほか、虚弱であることにたいする悲しみや劣等感など、心のケアもおこないます。

自閉特性の強い子にはコミュニケーション力を高める練習をします。

障害を治すわけではまったくありませんが、障害があるうえで、生きやすくするための支援を手厚くおこなってくれます。

③少人数教育

平成30年度の文部科学省の資料によると、特別支援学校の1学級の標準人数は、6人です。(重複障害の場合は3人)

そのため、一人ひとりの様子にすぐ対応でき、きめ細やかな指導をおこなうことができます。

しかしながら特別支援学校の生徒は増加傾向にあり、学年が上がるにつれ1人の教師が支援する生徒の数が増えている傾向があるのが現状です。

④一人ひとりに合った教科書

文字を大きくしたり、イラストを多くしたり、簡単な言葉をつかったり、一人ひとりの障害に合った教科書で勉強することができます。

教科書を読むことができない・わからないといった時点でのストレスをなくすことができるので、勉強にたいして意欲を損ないません。

また、自閉症であるお子さんは、視覚優位といって、目からの情報は覚えることが得意です。

イラストが多くある教科書をつかうことで、理解がすすみ、その分野では勉強がうまくいくかもしれません。

⑤設備が充実している

バリアフリーに配慮しているので、移動しやすく、大きなケガをふせぐこともできます。

そのほか、補聴設備、音声表出コミュニケーション装置など、障害をサポートする設備がとても充実しています。

⑥医療的ケアも可能

重度障害がある子は医療的ケアが必要なため、学校に通うことがむずかしいものでした。

しかし、近年では、たんの吸引など医療ケアをおこなうこともできる先生や、看護師が在籍している学校もあります。

医療的なケアもどのぐらいおこなえるか、お住まいの近くの特別支援学校を調べてみましょう。

⑦特別支援学校の教員免許をもった先生が在籍している

通常級や特別支援級だと、教員免許だけで担当することができます。

特別支援学校では、「特別支援学校の教員の免許」をもった教員が生徒に教えたり、対応します。

障害にたいしての知識をしっかり身につけた先生が対応するので、お子さんへ適切なかかわりかたをしてくれます。

障害への理解もすすんでいるので、先生と保護者が意思疎通しやすいという大きなメリットもあります。

⑧相談先としての役割をもつ

特別支援学校では、障害のある子や保護者へ、正しい療育のおこない方や、遊びの工夫など、早い段階から相談・助言をおこなってくれます。

子育ての支援をしてくれる場でもあるのです。

⑨就労をサポートする

高等部になると、就職に向けて、理容師など専門分野を学びます。

知的障害のある子には、木工、農園芸、食品の加工など作業の学習をします。

それぞれの障害や、お子さんの希望に合わせて、自立して働くことができるように支援してくれます。

さらに、卒業後、一般企業に就職したい人には、「就労移行支援事業所」を紹介してくれます。

就労移行支援事業所では、面接練習や企業での実習、ビジネスマナーや必要なスキルを学ぶことができます。

お子さんの将来に悩むかたは、少しでも安心できるかもしれません。

まとめ

特別支援学校は、お子さんを伸びやすく生きやすく支援してくれる場です。

自立活動の時間を設けたり、教材・設備の充実、少人数教育など一人ひとりに合った適切な学習ができます。

支援センターのような役割も果たすので、家族の悩みやストレスが改善し、お子さんと良い関係を築いていくことができます。

お子さんを最大限、生きやすく、力を伸ばしたいなら、特別支援学校はとてもすばらしい学び場です。