「子どもをほめることが大切」とわかっていながらも、子どもがほめられるようなことをしなかったり、どうしても叱りつけてしまったりして、自己嫌悪。
子どもにとって良い教育がしたいのに…と心痛めていませんか?
そんな頑張っている保護者の方のために、お子さんの上手なほめ方をご紹介します。
お子さんを上手にほめるステップ
まだお子さんが小さかったり、発達が遅れていたりする場合は、「ほめる言葉」の意味がよくわかっていないかもしれません。
自閉特性のあるお子さんだと、言葉での働きかけがほぼ意味ないこともあります。
どんなお子さんにも向けた、どんどん自信・やる気を引き出させるステップを見ていきましょう。
①ごほうびをあげる
ほめる言葉と一緒に、ごほうびをあげることです。
言葉の理解が遅れていても、「ほめられた」と気づいてもらえます。
子どもの好きなお菓子やジュースなど、子どもが喜ぶものをあげます。
このとき、ほめる言葉を必ず一緒に伝えてください。
お菓子がキライなお子さんの場合、お子さんがとても喜ぶものをごほうびにします。
子どもの行動をよく観察して、「これは!」と思うものを選びましょう。
②ごほうびをモノに換える
お菓子がないと動かない子になるのでは?と思うかもしれません。
けれど、子どもは動物とちがって、興味や好意の対象が変わってきます。
好きなおもちゃで遊びたい、ゲームがほしい、ドライブに行きたい。
お子さんが食べ物や飲み物のほかに興味が移りはじめたら、ごほうびをモノに置き換えましょう。
ほめる言葉も一緒に忘れないように。
スタンプカードなどにして、スタンプがたまったら、ごほうびをあげるかたちも効果的です。
できたこと、ほめられたことを目に見えるようにすると、どんどん自己肯定感が高まります。
③抱きしめる・言葉をかける
子どもが大きくなったら、ほめたり、頭をなでたりする行為だけに置き換えましょう。
「ごほうび+ほめる言葉や行動」を受けて順調に育っていくと、ほめる言葉や抱きしめる・頭をなでる行為だけで、子どもは喜び、自信が身につくようになります。
ほめるときに心がけたいこと
子どもにとって身近な人にほめられることが最も印象に残り、子どものその後に影響します。
それは発達障害でも、どの子も同じです。
お子さんをほめるときに、心がけてほしいことをお伝えします。
ほめるときは心から
子どもは何かできたとき、達成感や喜びを感じています。
このとき、子どもは大げさにほめたり、お世辞を言ったり、言葉やしぐさがほしいわけではありません。
子どもが一番うれしいと感じるのは、自分の成功に、親が一緒になって心から喜んでくれることです。
またお子さんと同じ気持ちになれば、自然と出てくるはずです。
「すごい!」「よくできたね!」「がんばったね!」と。
そういった自然で、「あなたと同じ気持ちだ」とお子さんに伝わるほめ方をしましょう。
ほめるときは毎回、すぐ
お子さんが良いことをしたときは、毎回、すぐにほめましょう。
体験や学習などと同じで、記憶やそのときの感情は、その場がピークです。
時間が経つと薄れていき、あとでほめられても、そのとき以上の感情は引き出せません。
とはいっても、常に注意深く見続けるのはむずかしいですね。
初めは徹底しなければいけませんが、しばらくすると、毎回でなくても効果を維持できるようになります。
3回に1回、5回に1回、そのうち1日の終わりにほめるのでも大丈夫になります。
最初は頑張って、毎回すぐほめるように心がけましょう。
スモールステップ
できるまで時間がかかりそうなとき、あきらめないでください。
スモールステップに分けて、1ステップごとにできたことをほめましょう。
ボタン付きの服を自分で着れない子の場合、服を着れたらほめるのではなく、ボタンをいくつかとめたら、ほめる。
その日に頑張った分をほめて、あとは補助してあげるというのを続けます。
そして補助をへらしていって、自分でできるようになると自信が育ちますよ。
お子さんに「やればできるんだ!」と成功体験をたくさんつくるのは、とても大切なことです。
ほめることがないときは?
自分から何かしようとしなかったり、言うことを聞かなかったり。
問題ある行動ばかりしてしまう子もいますね。
ほめるより、叱ったほうが教育になるのでは?と悩むこともあるでしょう。
ほめることが見つからないとき、どうすればよいのでしょうか。
子どもの行動をよく見る
どんな子どもでも、良い行動をすることはあります。
悪い行動ばかり目立ってしまいますが、親が注意する場面のほかで望ましい行動をしている可能性もあります。
子どものことをよく見て、少しでも良い行動と思えるものが見られたら、たくさんほめましょう。
ほめるキッカケをつくる
ほめることが見つからないなら、ほめるキッカケをお子さんと一緒につくりましょう。
おもちゃを散らかしてばかりの子なら、その子が満足するまで一緒に遊んだあと、「おやつにしようね。その前に片付けようね。」と、子どもと一緒に片づけて、できたらほめます。
勉強が苦手な子には、解けそうな問題を出して解かせましょう。
一人で解けそうになかったら手伝って、解き終わったらすぐにほめます。
「問題が解けた!ほめられた!」という成功体験が、勉強への意欲につながります。
または簡単なお願い事をして、その通りにできたらほめるという手も。
ほめるキッカケをたくさんつくって、子ども自身や、子どもとの関係をより良いものにしていってくださいね。
まとめ
親にほめられるのは、すべての子どもがうれしいことです。
あなた自身も、親にほめられたことがうれしかったのではないでしょうか。
あなたのお子さんも同じです。
ほめられる行動を見つけて、すぐに心からほめて。
キッカケをつくって、たくさんほめましょう。
やる気や自信も身につきますし、自然と言動の良い・悪いがわかってきます。
ぜひ今日から上手なほめ方を実践してみてください。
発達の気がかりな子どもの上手なほめ方しかり方―応用行動分析学で学ぶ子育てのコツ (ヒューマンケアブックス)
山口薫・著 学研プラス・出版