自分がいなくなったら、子どもはちゃんと生きていけるの?
高齢になったらもっと生きづらくなるのではないか?
子どもの将来を考えると、とても心配ですよね。
「お金をたくさん残さないと」と考えている人もいるでしょう。
この記事では、高齢障害者の現状や、子どもが高齢になっても生活しやすいように親がしておくことをご説明します。
高齢障害者の現状
約半分が社会福祉施設で生活する
2014年、厚生労働省の調査によると、療育手帳をもっている65歳以上の障害者5万人のうち、55%が特別養護老人ホームや障害者支援施設などで生活していることがわかりました。
自宅でも、訪問介護を必要としたり、国の支援のもと生活しています。
ケガや病気のリスクが高い
体が衰えてくると、体力、判断力などが落ちてきますね。
知的障害者は一般よりも老化がすすむ傾向にあり、ケガや病気のリスクが高くなっています。
病気では生活習慣病にかかる例が多くあります。
知的障害者の多くに若いときから肥満傾向があり、老後になって生活習慣病としてあらわれます。
ケガでは、知的障害者の場合、10歳ごとに転倒リスクが1.8倍になり、てんかんを合併すると6.5倍、麻痺性疾患を合併すると31倍になると報告されています。
高齢障害者には医療との連携が肝心となります。
問題となった65歳の壁
65歳以上になると、障害者であっても、ほかの一般の高齢者と同じく、障害福祉サービスよりも介護保険サービスへ切り替えるのが原則となっています。
介護保険サービスに変わると、所得にかかわらず、サービスの利用料金が1割負担となります。
行動に著しい困難がある知的または精神障害者にたいする「行動援護」が受けられなくなったり、居宅介護の回数をへらされた事例もあります。
障害者が高齢になるとますます生活しづらくなるのに「なぜほかの高齢者と同じ扱いになるのか」と問題になりましたね。
そのため、2018年から施行された改正案では、「低所得の高齢者に限り、自己負担をへらす」ことが加えられました。
しっかり運用されていくかどうか課題が残りますが、65歳の壁は多少なり改善されていくかもしれません。
子どもの将来のために親ができることは?
しかし、それでもまだ現状は厳しいものです。
お金をまったく使わないことはありません。
貯蓄を切り崩すこともあるでしょう。
では、子どもが高齢になっても生活していくために、今のうちからするべきことはなんでしょうか。
お金を必要以上に残さない
お金をたくさん残しておけば困らないだろう、という気持ちもわかります。
しかし、必要以上に残しておくと、浪費グセがついて逆に借金をしたり、資産をだましとられるリスクがあります。
国や地域の社会支援は多くあるので、頼れる支援を調べておきましょう。
そのうえで、子どもの生活費などとあわせて計算して、必要分のお金を残すようにしましょう。
障害基礎年金に加入する
障害基礎年金があるのとないのとでは、高齢になったとき、かなり生活にちがいが生まれます。
お住まいの市区町村窓口にて、申請書を提出しましょう。
あわせて診断書、病歴がわかるもの、住民票や戸籍謄本がおもに必要となります。
本人の障害状況によって必要書類が変わるので、区役所の窓口にて確認してみましょう。
20歳未満で障害をもっている人でも、20歳になってからすぐ障害年金をもらうこともできます。
20歳になったら障害年金の受給を申請しましょう。
生命保険信託
遺産をすべて託すのは上記で話したリスクがあります。ほかの身内に託したとしても、適切な管理がおこなわれるのか不安です。
そのようなときに頼れる仕組みが「生命保険信託」です。
生命保険の死亡保険の受取人を、信託財産として信託銀行や信託会社にすることができます。
そして、この保険金を信託会社が、障害のある子どもに一括、または分割で支給するというものです。
これによって、公的な管理のもと安心して、子どもに必要なお金を残すことができます。
また、今どんどん利用者にやさしい新サービスが出てきています。
子どもに残すお金をどうしたらよいか悩んでいるなら、「信託」の最新情報を調べてみることをすすめます。
生命保険信託に関しては下記のリンクの記事を参考にしていただければと思います。
後見人を見つけておく
お金もそうですが、後見人を見つけておくことも大事です。
知的・精神的障害のある人は、正しい判断ができず、重大なことの意思決定で困ることがあります。
そのため、障害者の代わりに法的な意思決定する、後見人を選んでおきましょう。
成年後見制度もありますので、社会人になられた早い段階で利用するといいかもしれません。
成年後見制度に関しては下記のリンクの記事を参考にしていただければと思います。
まとめ
高齢障害者の生活はまだまだ厳しいものです。
体も衰えて、ケガや病気のリスクは高くなりますし、支援なしでは生活できません。
そのため、子どもが高齢になっても困らないために、
①障害者基礎年金など受けることができる支援を調べておくこと
②生活費などを計算して適切なお金を残すこと
③後見人を見つけておくこと
この3つが最も大切です。
お子さんがいつまでも健やかに生きられるよう、今から備えておきましょう。