小学校1年生のシンボルである「ランドセル」。

人生で最初の大きな節目である小学校入学にあたり、多くの方がお子さんのランドセル選びをされるのではないかと思います。

また、ランドセル選びを楽しみにされている親御さんやおじいちゃんおばあちゃんもいらっしゃるかと思います。

今回はそんなランドセル選びである「ラン活」と障害のお子さんの特性に合わせたランドセルについての記事です。

最近のランドセル事情

最近では機能性に優れたものから上質な牛革を使用した高級品まで、デザインを含め多種多様になってきました。

近年少子化による1人あたりの子どもにかける金額も上昇していることから、ランドセルを選ぶ「ラン活」が賑わいをみせています。

この「ラン活」は数年前まで早くて秋から、遅くて卒業の少し前の1月頃がピークになると言われてきました。

しかし最近では前倒しの傾向があり、メーカーが新学期になった4月あたりから新型モデルの発表や展示会などをおこなう関係で、夏頃にピークを迎えると予想されます。

特に、人気ブランドや1つ1つ手作りであるオーダーメイドの「工房系」の商品などは予約開始と同時に売り切れになってしまうことも珍しくないそうです。

来年度の2021年モデルのものは、今の段階でカタログ請求などをしてリサーチしておくといいかもしれないです。

また、後述でもお話ししますが、障害のお子さんの特性に合わせたランドセルも存在します。

どんな種類のランドセルがあるの?

今のランドセルは大きく分けると「工房系高級ブランド」「大手人気ブランド」に分けられています。

工房系の高級ブランドでは牛革などの天然表皮を使用し、職人が独自の手法でデザインや細部の縫い目などにこだわり、1つ1つ手作りで制作しています。

その呼び名の通り「高級感」を演出してくれます。

使用している素材から丈夫ではありますが重くなる傾向があるほか、受注生産になることが多く生産量が少ないため、すぐに売り切れてしまうことも珍しくありません。

有名なところとしては、池田屋や黒川鞄工房、中村鞄といったところでしょうか。

価格帯は6万円台後半から、高いものだと10万円ほどするものもあります。

大手人気ブランドでは、生産量が多い分多くのユーザーを集めており、品質というよりも機能性に重きを置いている製品が多いのが特徴です。

近年の授業形態に合わせてタブレットが入る構造や軽く感じることができるベルトの構造などの機能面で工房系ブランドと差別化を図っています。

「天使の羽」のセイバンや「背中にピッタリ」が売りのフィットちゃんなど、CMでなじみのある方も多いと思います。

お値段も3万、4万円台からありお値段も比較的優しめですが、これらの大手メーカーでも素材や品質にこだわった高級グレードも存在します。

障害のお子さんに合わせて作られたランドセル

ラン活の競争激化によってランドセルが多種多様化する一方、障害のあるお子さんが使いやすいように作られたランドセルも存在します。

ふわりぃランドセルから発売されている「障がい児用オーダーメイドUランドセル」がそれにあたります。

特徴としては、開け閉めの際に他の子や自分に当たらないように半かぶせタイプのものや車いすに取り付けしやすいような横長タイプなどの基本タイプがあり、その中で手先の不器用なためにロック解除困難なお子さん向けたワンタッチ式やマジックテープ式開口部のほか、自立式の机に置いた状態でも背負いやすいベルト構造、車いすの形状に合わせたパーツなどのオプションの組み合わせのものになります。

これらのランドセルはオプションが充実しているだけではなく、軽くて体に負担をかけない構造や多動の傾向が強いお子さんが乱暴に扱ってしまうことがあっても壊れにくいなど、身体障害から知的、発達障害のお子さんまで幅広く使用することができます。

価格は一見すると高そうに見えますが、4万円台~と一般の大手ランドセルメーカーが出しているベーシックモデルの価格とほとんど変わりません。

これには、どんな障害特性のお子さんにもランドセルで学校に行けるようにというメーカーの熱い思いが込められています。

後付け製品も

学校への登下校、特に新学期などは手荷物が多く、給食袋や体育館シューズ、手提げの水筒などで両手がふさがってしまうことが記憶にある方が多いと思います。

発達障害のお子さんで荷物が気になって不注意になってしまい車に気づかないことや荷物が他の人や物に当たってしまうことも少なくないかと思います。

そうした中で、 未来工房 結が生産している 「てぶラン」と呼ばれるランドセル取り付け型のポーチがあります。

『発達障害の子のためのすごい道具』(小学館)で著者の安部博志先生(筑波大学附属大塚特別支援学校地域支援部長)が選んだ一品として発達障害のお子さんの通販サイト「tobiraco(トビラコ)」で紹介されています。

ランドセルに取り付けることによって水筒や上履きなどランドセルに入りきらないものもその名の通り「手ぶら」で持ち運ぶことができる優れた用品です。

こうしたものも障害のあるお子さんの学校生活を支える大切なアイテムとして活用されています。

障害児のランドセル選びのポイント

とあるアンケートで、障害のあるお子さんがランドセルで学校生活を送るにあたって多いお母さんたちの心配事は、

・重さに関する心配

・肩ベルトがずり落ちないかの心配

・かぶせのロック開閉

・ランドセルの中の物の出し入れ

・車いすへの固定

が多いとのことです。

これらを考慮してランドセルを選ぶ場合は、

①重量

②サイズ

③肩ベルト構造

④ロック、ファスナーの開閉

⑤車いすへの取り付け可否

が大切になります。

①の重量に関しては軽くて丈夫な合皮を使用したタイプのものがおすすめです。

一般的なランドセルの重さは1200g弱から重いものだと1500gほどです。

あまり重たいとランドセルを使いたがらなかったりするお子さんもいらっしゃるかと思いますので、お子さんとよく相談する必要があります。

しかしUランドセルは830g~と比較的軽く、その分体への負担は少ないです。

②のサイズに関しては、内寸も今の教材が大きくなっていることや、今後はタブレットを持ち歩きする授業も増えてくるかと予想されるので、A4フラットファイルが入り、前ポケットも大きく伸びるものがオススメです。

特に持ち物リストなどで持ち物にこだわりを持つお子さんもいらっしゃいますので、事前にどんなものを入れるのか学校にも確認しておくといいかもしれません。

③の肩ベルト構造に関しては肩ベルトのクッションの厚みがしっかりお子さんにフィットしているか、肩ベルトが自立して背負うのが楽かどうかも重要なポイントです。

また、オプション品で左右の肩ベルトをつなぐ背負いずれを防ぐベルトが装着できるかも重要です。

④のロック、ファスナーの開閉に関しても、固くないか、固い場合はワンタッチの錠前かマジックテープにできるか、ファスナーのつまみは持ちやすくなっているかがポイントです。

不注意の傾向が多いお子さんは開閉の際に他の人や物に当ててしまうということも考えられますので、必要であればかぶせが短い半かぶせタイプのものがオススメです。

⑤の車いす装着に関しても車いすの形状に合わせて装着できるベルトがあるかどうかを確認する必要があります。

実際にお店で装着してみるのがいいかもしれません。

これらのポイントを参考にお子さんの使い方や学校の持ち物等から選んでいくといいかもしれません。

まとめ

ラン活競争が激化しつつある中、そのおかげで様々なランドセルが増えてきました。

高級志向のものから機能重視のもの、障害の特性に合わせたものなど様々なユーザーのニーズに対応しているのがわかります。

6年間使うものだからこそいいものを選びたいですが、一番大切なのは普段使うお子さんの良き相棒になれるかを見極めることが一番大切だともいます。

また、地域の通常学校や特別支援学校でもランドセルの有無も変わりますので、お住いの学校がどういう通学鞄が必要かも確認しておく必要がありますね。