ゴミ屋敷の問題が表面化するなど、ここ最近、片付けられない人が話題となっています。
整理整頓ができないと、日常生活にも支障をきたしてしまう恐れもあり、早期から整理整頓をする習慣を身に付けておいた方が、大人になってからも自立して生活できるようになると言えますね。
今回は、整理整頓を早期から身に付けないとどうなるのかの問題点や、それに対しての対策などをご紹介させていただきます。
現在、片付けられない、片付けようと思っても散らかったままにしてしまうお子さんをお持ちの方は、ぜひご一読していただければと思います。
持ち物を管理できないタイプとは?
まず、片付けができないことに関して、子どもだけではなく、大人も出来ない場合があります。
そのため、片付けができないケースを以下にまとめてみましたので、ご確認いただければと思います。
ADD/ADHDの場合
注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害のことを意味しており、落ち着きがなく、興味のあるものに向かっていく気質をもっている一方で、気が散りやすく、1つのことに集中しにくく、落ち着きがない気質があると言われています。
子どもの場合は、この気質に該当する可能性が高く、脳に軽度の機能障害があるためとされていますが、早期から繰り返し訓練することで、脳機能を改善させることができる可能性が高く、改善後は、大人になってからは支障なく生活できます。
強迫性貯蔵症
極度のガラクタ収集をすることを好む傾向があり、捨てる行為をもったいないこと、かわいそうなことと捉える傾向があります。
こちらは、大人の方が陥りやすい傾向があると言え、近年の断捨離ブームの火付役とも言えます。
戦争体験を通して、極度の貧しい経験をしている現在の75歳以上の方は、この傾向が強いかもしれません。
うつ病
一旦罹患すると、無気力、疲労感、倦怠感を強く感じるようになってしまいます。
そのため、部屋の片づけまで気が回らなくなってしまい、片付けができなくなってしまう可能性があります。
セルフネグレクト
社会生活上、何らかの挫折経験のため、自分自身に興味をもてなくなる精神疾患のことを言い、自分の心と体のケアを放置してしまう傾向があります。
病院に行っても、診察することができず、食事や掃除、洗濯にも気を使えなくなってしまいます。
また、コミュニティに参加する意欲もなく、周囲の人が気づいてあげることが大切になってきます。
統合失調症
現実と非現実の区別ができなくなる精神疾患のことで、原因は不明となっています。
心理的に不安定な面があり、整理整頓についても、毎日しっかり行うことが難しくなっています。
しかし、現在は心療内科の心療技術の発達と、社会的な認知もあり、改善を促すプログラムが多様に用意されています。
認知症
老化現象の1つで、同じ物を購入してしまい、物が溢れてしまうことがあります。
そのため、認知症の改善は、老化現象の1つなので、1人で行うことは難しい面がありますが、介護ケアなど周囲の方たちのサポートで、日常生活を問題なく過ごせるようになります。
これらのように、片付けが困難な症状は、大人でも子どもでもあり、整理整頓ができるかどうかは、精神面の影響も強くあるため、日常生活において、非常に重要な面をもっていると言えますね。
では、これらを踏まえて、物を片付けることが改善できない場合について、みてみましょう。
物を片付けることができない場合のデメリットとは?
では、物を片付けられなくなる場合のデメリットについて、みてみましょう。
自立した生活ができなくなってしまう
物を片付けられないまま、大人になってしまうと、1人暮らしをすることが難しくなってしまいます。
これは、整理整頓ができないと、仕事で必要な書類や筆記用具などを忘れることが多くなってしまい、仕事で信頼関係を構築することが難しくなってしまいます。
また、部屋のゴミを決まった日にゴミ出しすることも難しく、ゴミを溜め易くしてしまいます。
これらから、自立した生活を過ごすことは難しく、せっかく就労したとしても、実家に戻らざるを得なくなってしまい、自立した生活を過ごせなくなってしまいます。
大人になるということは、自立した生活を過ごすことと同じであり、いつまでも実家暮らしだと大人になっている認識が芽生えにくくなってしまいます。
そのため、整理整頓を早期から身に付けるようにして、成人後は1人暮らしをしっかりできるように、していきましょう。
物の消費が激しくなる=貯金しづらい体質となってしまう
整理整頓を行えないと、必要な物があるにも関わらず同じ物を何度も購入してしまうことになる恐れがあります。
このように、物の消費が激しくなってしまうと、結果として、無駄に消費を繰り返すこととなってしまいます。
そのため、出費も激しくなり、お金が貯まりにくくなってしまいます。
このため、整理整頓を早期から身に付けることで、必要な物を管理することができるようになるので、無駄な出費もしづらくなります。
心の整理が難しくなってしまう
ミニマリストというワードが流行っているように、部屋に無駄な物を置かないことがシンプルな生活スタイルを生み出すとして、注目されています。
これは、部屋の整理整頓具合が、自らの心理状況を反映しているという心理学者もいるように、部屋を清潔に保つことは、心の整理にも繋がることが、近年注目されています。
このように、部屋が汚いということは、心の乱れを表していると言え、大人になってから部屋が汚いままだと、心理面にも悪影響をもたらしてしまう可能性があります。
そのため、早期から整理整頓ができるようにしておくことは、成人後、多様化する社会生活に適応できるように心理面から整えることを意味しているので、なるべく子どもの時期に、整理整頓をクセ付けておくと良いと言えますね。
では、これら、整理整頓ができない場合のデメリットを述べた上で、これらの改善策についてご紹介させていただきます。
整理整頓ができるようになるには?
整理整頓ができるようになるには、どうすればよいのか、具体的な改善策について、みてみましょう。
自分の引き出しを作り、保管場所を決める
物を大切に扱ってもらうために、まず自分専用の引き出しを作り、そこに物を管理してもらうようにしてみましょう。
一度使用した物を引き出しに戻すことで、物を失くしたり、散らかしたりするクセを改善することが期待できます。
他の共有物についても、保管場所をあらかじめ決めておき、遊び終わったら定められて保管場所に戻すように指導してみましょう。
この訓練を繰り返し行うことで、本児に自分の物や共有物を、元の場所に戻すクセをつけてもらうことが期待でき、物の管理能力の向上が期待できます。
注意していただきたいのは、本児が物を失くしてしまったりした場合でも、指導の際に怒らないことが重要です。
どちらというと、片付けられないことを前提に、一緒になって、その課題解決に向けて指導することが重要です。
ついついイライラしてしまうかもしれませんが、そこは我慢して粘り強く指導していきましょう。
持ち物を最小限にしてみる
そもそもの物自体を少なくしてみることも、整理整頓をスムーズに行ってもらうために重要となっています。
土台の物の数が多いと、それだけ管理する物が増えてしまうため、管理が難しくなってしまいます。
逆に、物の数が少ないと、管理も容易となるので、整理整頓自体がし易くなります。
ポイントとしては、「いるもの」、「いらないもの」、「ときどき使うもの」の3種類に分け、分類してみて下さい。
いらないものは、廃棄するなどして処分し、「いるもの」と「ときどき使うもの」に分類してから、整理整頓の訓練を行うことをおすすめ致します。
専用の訓練サービスを利用してみる
愛知県豊田市の放課後等デイサービスPolaris(ポラリス)教室では、就労準備型や生活訓練型の事業所としてこういった片付けが苦手なお子さんに対し、有効な訓練サービスを提供しています。
具体的には、子どもたちが普段過ごすスペースの環境の見直しを図り、室内になるべく装飾をなくし、必要最低限の物しか置かないようにしています。
このようにスッキリとした室内のため、自分の持ち物が散らばっていたり、物が出っぱなしになっていたりする場合は目立つので、お子さんの「片付ける」という意識が自然と散らかった物に向くようにしています。
また、出っぱなしの物があった時は、他の子どもたちも気が付く環境を整備しています。
そのため、互いに声を掛け合うようになるなど、整理整頓という共通の意識の下で、生活することになるので、自然と同じ意識が芽生えやすい状況を構築してもらえるようになります。
さらに、活動の一環で「お仕事」というくくりをつけて、片付けを行ってもらうことで、お菓子やシール、ジュースなどのご褒美をお子さんに定期的に与えるようにしています。
この結果、整理整頓は、仕事にもなる重要なことと認識してもらうことで、より前向きに整理整頓に取り組んでもらえるようになりました。
まとめ
これまでみてきましたように、整理整頓ができないという問題は、子どもだけではなく、大人でも解消できない問題となっています。
できれば、子どもの頃から、片付ける意識を日常生活でもってもらうことで、大人になってからできなくなってしまう可能性を少なくすることができます。
ご紹介しましたように、出来る範囲で片付けを意識付けしてもらうことは、十分出来るようになっています。
また、お子さんの片付けることに対する意識の改善が著しく難しい場合は、放課後等デイサービスPolaris(ポラリス)教室のように、専用の訓練サービスを提供してくれている場所もあります。
このため、上手にこれらのサービスを活用して、成人後に社会で柔軟に働いていけるように、まずは、整理整頓の改善から取り組んでみてはいかがでしょうか。