近年子育てに不安がある方やお子さんの問題行動で悩みやストレスを抱えている方に向けて行われている「ペアレントトレーニング」。

ソーシャルスキルトレーニング(SST)やライフスキルトレーニング(LST)といったさまざまな訓練がある中で保護者が主体になってお子さんの行動を細かく観察し、論理的に問題行動と向き合う方法を見つけていく訓練になります。

では、具体的にどういったトレーニングになるのでしょうか。

ペアレントトレーニングとは

ペアレントトレーニングとは、アメリカで始まったものです。
問題行動のある子ども(攻撃的、活動的すぎる、かんしゃく、指示に従えないことなど)の保護者向けに作られた子育てのトレーニング方法です。

家庭における支援策として、支援機関が行っていることと同じ療育方法を家庭でも行えるようにすることで療育の効果を高めたり、維持したりすることやお子さんの問題行動でのストレスや深刻な悩みを抱えている家族の精神的な健康の手助けとして作られました。

療育があまり浸透していなかった日本でもお子さんの日常生活の困りごとを減らすプログラムとして取り入れられ代表的なものでは大学や医療センター等で開発された「肥前方式」「鳥取形式」「精研式・奈良方式」などが知られそのほとんどが行動療法を基礎として作られています。

現在では子育てに不安がある方や、障害の種別に対応したプログラムも増えてきました。日本で行われているペアレントトレーニングの講習は、だいたいが隔週開催で全10回ほど、半年が目安です。

どんなことをやるの?

ペアレントトレーニングの基本的な方法としては、ABAのABC分析などの応用行動分析学からお子さんの行動を分析していきます。

簡単に言うと、子どもの行動への注目の仕方を変えることで問題行動を減らし、好ましい行動を増やしていくことです。

具体的には、お子さんの日常行動での良い行動と良くない行動に分けることから始まります。

これはお子さんの現状把握やペアトレ実施に関しての具体的な目標設定において必要になってきます。

そして、今後も続けて欲しい事とやめて欲しい事の2種類の目標を設定した上で、応用行動分析学の視点から良い行動は頻度を増やしていけるように(強化)日頃できている小さなことからでも褒めていき、やめて欲しい行動には注目しないことなどでやってもなにもないことを学習(弱化)させることや代わりになる良い行動(代替)を強化するように考えていきます。

ペアレントトレーニングにおける重要ポイント

お子さんの行動を分析・分類・理解する

行動を起こした時の原因・タイミング、そしてその行動を起こすことによって何を得ることが出来たかを理解することです。

お子さんの良い部分を認めて褒める

問題行動は悪いところばかりに目がいってしまいがちですが、悪いところに注目するのではなく、お子さんの良い部分を見つけて上手に褒めることです。

お子さんに応じた適切な指示を出す

行動指示において強い口調や叱責はお子さんを傷つけるだけでなく、場合によっては反抗的にさせる原因や問題行動の強化に繋がりますので、 お子さんの性格や問題行動のパターンに応じた適切な指示の出し方、指示に従わなかったときの正しい対処をすること。

ペアレントトレーニングを行うことによって、お子さんの問題行動を減らし管理することだけではなく、親子関係の改善や家族のストレスの軽減、子育てへの自信の取り戻しなど、親子の良好な子育ての循環に繋がります。

また、PCITと呼ばれる、お子さんとのプレイングセラピーを通して子育てを改善する心理療法もあります。

まとめ

お子さんの問題行動に対処する方法としては、叱責することやむやみやたらに制約を与えて禁止してしまいがちですが、それだけだは根本的な解決にはならず返って反抗的になってしまったり問題行動が増えてしまったりするケースもあります。

このペアレントトレーニングを通して、行動を分析することで今お子さんにどういった対処が必要なのかを保護者の方自身が考えていく必要があり、そういった意味でペアレントトレーニングは「お子さんと真剣に向き合う」ひとつの子育ての方法として役立っているかと思います。