発達障害や知的障害をもつ子どもは肥満傾向が高いとされています。

十分な運動ができなかったり、偏食で一つの食材しか食べられなかったりと多くの原因があります。

この記事では、原因別の対処法と、食事制限をする際に気をつけたいことを解説します。

食事制限をおこなううえで注意したいこと

発達障害など障害をもつお子さんは、こだわりなどの関係で普通のお子さんがしているダイエット方法や食事制限の方法が合わないことが多いですね。

障害をもつ子に食事制限をおこなうときの基本的な考えから確認しましょう。

特定のモノだけを食べるといったダイエット法はやらない

よくある糖質制限や、肉抜きダイエット、キャベツダイエットなど特定の食材だけを食べたり、抜いたりする減量法は障害児に向いていません。

偏食の傾向を高めてしまったり、食事によるストレスが原因で二次障害を引き起こしたりする可能性があります。

また成長を阻害すると、体の発達だけではなく、心身ともに影響が出るおそれも。

成長に必須なタンパク質、カルシウム、ミネラル類などは必要量を確保しましょう。

1日3食が基本であり、栄養バランスを考えた食事で体重をへらすことが大切です。

1か月マイナス1kg程度を目標にする

子どもは代謝が活発で、「痩せやすい」と思いがちですが、普段ずっと座りっぱなしだというお子さんや、よく食べるお子さんは代謝の助けを借りてもヤセにくいでしょう。

また高い目標にしてしまうと、失敗する確率が上がり、お子さんに「ダイエットがんばってるね」といった前向きな言葉をかける機会がへってしまいます。

お子さん自身も、失敗ばかり目にするとダイエットがイヤになり、好きなお菓子に走ってしまうかもしれません。

目標体重はやさしく、達成できそうなぐらいに設定しましょう。

定期的に体重と食生活を記録する

減量を開始するときは、体重と食生活を記録しましょう。

肥満の原因を特定したり、対策を考えたりすることができます。お子さんも結果が目に見えて、やる気につながります。

食事のし方に原因があるときの対処法

原因別に、食事制限の方法をご紹介します。

障害のあるお子さんに肥満が多い原因のひとつは食事のし方です。

普段のお子さんとの食事で、食べ方が気になることはありませんか?

・ご飯を噛む回数が少ない
・食べるスピードが速い
・まるのみする
・ためこんで食べる

噛みやすい大きさに切る

食材を細かく刻みすぎると、まるのみや、ためこんで食べるようになってしまいます。

また口の中の動きが上手でないため、噛む回数をへらしたり、まるのみしてしまったりする子もいます。

そのため大きすぎず、のどには通らないほどの一口大に食材をカットしましょう。

小分けにして出す

食事1回にかける時間は15分以上が望ましいとされています。

食べるのが速い子は並べられたものを一気に食べようとしてしまうので、量が少ないものを1皿ずつ出し、一呼吸置くように調整しましょう。

また嫌いなものも食べるように促すと、食事のスピードが落ちます。

一緒に食事をして言葉がけを

お子さんと一緒に食事をしながら、お子さんの様子をしっかり確認しましょう。

食べるスピードが速いときや、よく噛んでいないことがわかったら、「〇回噛もうね」とやさしく注意します。

怒って「食べるの速すぎ!」「ちゃんと噛んで」と強く注意すると、食事の時間が苦痛になるおそれがあるので、やさしく、具体的な指示を出しましょう。

過食・偏食が原因のときの対処法

発達障害などをもつお子さんは、食べ物の味や満足感にハマりやすく、「食べているときが一番幸せ」といった傾向になりがちです。

または偏食気味で、その食品にハマり、大量に食べてしまうことがあります。
過食や偏食がちのお子さんへの食事制限法をご説明します。

偏食は食べられる食材を増やす

偏食のお子さんへの食事制限はむずかしいですね。

食べられる食材の数を増やすか、食事制限はあきらめて運動での減量になるでしょう。

お子さんによって食感が苦手だったり、温度がイヤだったりと偏食の原因があるはずです。

原因を探って、野菜やカロリーが低い食材を食べられるようにしましょう。

偏食改善の詳細は別記事をご覧ください。

カロリーをへらす

過食にハマっている子にとって量をへらされるのはとても苦しく、ストレスをあたえます。

そしてストレスの不快感をぬぐおうとして過食に…という流れも考えられます。

量はそれほど変えず、カロリーは抑えめにする工夫が必要です。

食材を選んだり、調理法を変えたり。

「揚げる・焼く」よりは「煮る」ほうがカロリーが落ちますね。

器を小さくする

目で見て得られる情報は食欲や満足感にも影響があります。

大皿の上に料理がちょこんと乗っていると少ないと感じますし、小皿の中にあふれるほど盛り込まれていると量が多いように感じますね。

こういった視覚情報を利用して、いつも使っている器を小さいものに変えましょう。

まとめ

障害をもつお子さんの食事制限はとても困難なものです。

毎日の食事で食べ方や量に気をつかったり、間食をさせすぎないといった努力が必要です。

食事制限では、目に見えて量をへらしたり、間食をなくしたりするとストレスになるおそれがあります。

低カロリーに置き換えたり、調理法を工夫したりと少しの変化ぐらいにしましょう。

少しでも体重の変化が見られたら、「がんばっているね」とほめることが大切です。