お子さんに「片づけなさい」と注意しなかったら、部屋に足の踏み場がなくなるということもあるでしょう。

整理整頓されていない部屋は、衛生的にもよくありませんし、物をなくしやすくなるなど、デメリットばかりです。

この記事では、発達障害をもつお子さんが上手に片づけをできるように、成功例やアドバイスをご紹介します。

発達障害の子が片づけをできない理由

片付けができないのは、お子さん自身のやる気や性格の問題ではなく、個性と同じように、子どもそれぞれの特性に理由があります。

まずは片づけをできない主な理由を確認しましょう。

①ものを分類できない

お子さんが自分の物と、ほかの人の物の分類ができていないことはありませんか?

自分の物がハッキリとわかっていないため、どれをしまえばいいのか、どの範囲まで片づければいいのかがわからず、そのまま放置してしまうことが考えられます。

②集中力がない

片付けは一瞬でできるものもありますが、物が多いほど作業が増えます。

扉を開けて、物をしまうのも、①扉を開ける②ものを入れる③扉を閉める、といったように3工程もあります。

また物が中に隠されると、ADHDの子の場合、何をしまう場所だったのか、どこに物をしまったのか、忘れてしまいます。

そのあいだに集中力が切れたり、別のことに目が入ったりして、片付けができません。

③整理整頓の意義がわかっていない

部屋が汚いとデメリットがたくさんあると思いますが、お子さんにとってはデメリットがわかっていなかったり、「またつかうから」といった独自の理由で、片付けはしなくてもいい、と思っていることがあります。

④片付けの段取りがわからない

いざ片付けをしようとして物を見るとき、定型発達の子は頭の中でコレから片づけて…と段取りを考えられます。

発達障害があると、どれから片づけたらいいのか、どの順番で片づけたらいいのかがわからなくなり、片づけを放棄してしまいます。

お子さんは、これらの理由のうち、どうして片づけられないのでしょうか。

発達障害の子が上手に片づけられた実例

片づけをできない理由を調べて、その理由に合った支援をすることが大事です。

発達障害をもった4人の子が上手に片づけられた実例をご紹介します。

すべてのものが気になって片づけられないAくん

特別支援学校に通うAくんは、まったく片づけをしない子でした。

先生や親の声がけには反応しますが、物をひとつしまうと動きが止まってしまいます。

●改善

Aくんはほかの物が気になって、片付けができない様子でした。

そのため、片づける場所以外は布などで覆い隠し、片付けに集中できるようにしました。

そして少しずつ片づける範囲を広くしていき、部屋全体を片付けられるようになりました。

ほかの子のものと区別ができないBちゃん

特別支援学級に通うBちゃんは、片づける場所を指定したり、わかりやすく色や枠をつけたりもしましたが、片づけられませんでした。

●改善

Bちゃんは自分のものと、ほかの子のものと区別がついていませんでした。

また、どこからどこまで自分が片づければいいのかもわかっていない様子です。

そこでフラフープを用意し、床に並べて、Bちゃんと、ほかの子それぞれフラフープのなかに入るようにしました。

「Bちゃんはあっち、○○くんはこっちね」など指示を出し、片付ける範囲をわかりやすくしました。

片付けの必要性がわからないCくん

Cくんの机の上はいろんなものがあります。

ファイルボックスに国語、算数、理科など名前シールを貼って、わかりやすくしていますが、国語のボックスの中に算数のノートが入っていたりして、名前通りに整理しません。

●改善

片づけるメリットをCくんと話し合うことにしました。

すぐに教科書やノートをとれないと、勉強がしにくいことや、ものを良く忘れてしまうなど普段Cくんが困っていることを説明しました。

Cくんも思い当たることがあったようで、片づけを始めるようになりました。

そして片づけたら、「スッキリしたね」「わかりやすくなったね」など声をかけることも大事です。

整理整頓の気持ちよさや達成感、メリットを伝えるようにすると、「片付け=良いもの」と考えが変わっていくでしょう。

片づける順番がわからないDくん

Aくんと同じように、Dくんも声がけで片づけはしますが、途中で止まってしまう様子でした。

そこでまわりのものを布で覆うなどしましたが、範囲が広まるほどにできなくなります。

●改善

Cくんの場合、Aくんのようにまわりが気になるのではなく、集中力がもたず、工程を忘れてしまうといったADHDの傾向が強いことがわかりました。

そのため絵カードを用意し、作業をひとつひとつ確認させるようにしました。

また集中力が切れたように見られたときに、親や先生が「次は○○をするんだよ」と適度に声をかけたり、絵カードを確認させたりすることで、片付けの時間を徐々に伸ばすことができました。

引き出しのように物が見えない状態だと忘れてしまうため、すべて見える化し、服はハンガーにかけるようにしたり、棚ひとつひとつに片づける物の名前シールを貼って、場所がわかるようにしました。

すると、最初に迷っていた様子がへって、片付けを始めやすくなりました。

まとめ

発達障害をもつお子さんが片づけられないのは、普通なら理解できないような理由があります。

その理由を分析し、理由に合った支援をすれば、どのような子でも改善されるはず。

子どもの片づけている様子をよく観察したり、特性への理解を深めたりしましょう。

参考資料・サイト

書籍
●発達障害の子をサポートする生活動作・学習動作実例集
(腰川一恵 佐々木清子・監修/池田書店・出版)

サイト 
●片づけられない!発達障害の子どものための部屋作り

●片付けられない発達障害の子供:机の整理整頓のコツと対策

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