新しい環境になかなか溶け込めなかったり、急にパニックになってしまったり・・・。
今までは「性格」だと思って納得していたものが、大人になってから「やっぱりおかしい・・・」と自分や家族が気付き、発達障害を疑って医療機関に受診されるケースは少なくありません。
発達障害は特性には個人差があるため、幼少期の頃にすぐ分かるお子さんもいれば、社会人になってから気付く場合もあります。
あなた自身やあなたのお子さんの症状を見て発達障害かな?と疑っておられる場合は、是非この記事を読んで「受診の目安」や「発達障害と告知されてからの流れ」「就職への影響」など知って安心して頂ければと思います。
子どものうちに!発達障害のセルフチェック項目!
発達障害かもしれない、というのは日ごろの行動からわかることがあります。
しかし、発達障害の受診はとても勇気が必要なことだと思います。
そんな時は、自宅でもできる発達障害セルフチェックとして、お子さんに以下の行動がないか確認してみてください。
もし以下のような行動が多くみられる場合は、発達障害の可能性も考えられますので、参考にしてみてください。
自閉症スペクトラム(ASD)・アスペルガー症候群
☐目線が合わない
☐指さしをしない
☐ほかの子どもに関心がなく一人遊びが多い
☐自分の話したいことしか口にせず、会話がつながりにくいことがある
☐自分の好きなことや興味のあることには、毎日何時間でも熱中する
☐初めてのことや決まっていたことの変更は苦手
注意欠陥多動性障害(ADHD)
☐座っていても手足をもじもじする
☐席を離れる
☐おとなしく遊ぶことが難しい
☐じっとしていられずいつも活動する
☐しゃべりすぎる
☐順番を待つのが難しい
☐他人の会話やゲームに割り込む
☐うっかりミスが多い
☐活動に集中し続けることができない
☐話しかけられていても聞いていないように見える
☐やるべきことを最後までやりとげない
☐課題や作業の段取りが下手
☐整理整頓が苦手
☐集中力が必要なことを避ける
☐忘れ物や紛失が多い
☐気が散りやすい
発達障害の受診の目安
発達障害の受診の目安はDSM‐5という精神障害の診断・統計マニュアル第5弾から知る事が出来ます。
DSM‐5は様々な精神疾患が22のカテゴリーに分けて解説されており、それぞれの疾患に伴う障害の特性や診断方法などが詳しく書かれています。
例えば自閉症の項目では「社会的コミュニケーション」「反復的な行動」など合計で7つの症状、うつ病の場合は9つ程度の症状が記載されています。
ADHDの場合は「忘れっぽい」「外からの刺激で注意がそれてしまう」など18項目が挙げられています。
DSM‐5では、いつから症状が続いているのか、原因が分かるか、挙げられている項目のうち何項目あてはまるものがあるかなどそれぞれの発達障害において受診の目安についても説明されています。
発達障害と診断されてから
発達障害だと診断されると驚きの反面、これからどのように生活が変わってしまうのだろう・・・と不安を感じられる方も多いと思います。
現在発達障害の特効薬は開発されておらず、ずっと障害特性と向き合い続けなければいけない・・・という孤独感に押しつぶされそうになることもあるかもしれません。
でも、発達障害と診断されてから一番大切なのは、冷静になって今の身の回りの環境と障害特性を比べ、どこか生活や職業の面で変更するべき点があるか、お子さんが診断された場合、子どもが障害特性に向き合って生活できるようどのように支援できるかと現状を見極めることです。
環境の調整・合理的配慮
発達障害と診断されると、診断された障害の特性や特徴などを理解して、身の回りの環境を整える事が大切です。
例えば、外からの刺激によってすぐに注意がそれてしまうのであれば、机の上を整理整頓して目から入ってくる情報を出来るだけ減らすといった方法があります。
また、忘れっぽいという特性がある場合は「やる事リスト」など頭の中を整理するのに役立つアイテムを使用する事も出来ます。
環境の調整をおこなう事は、このように個人的に生活を変化させるだけでなく周りの人からの理解・配慮も必要です。
こうした合理的配慮を多くの人と協力し合って問題に対処していく時、大きな自信や安心感を得ることが出来ます。
発達障害と診断されてから就職の時にやっておくといい事
発達障害と診断されると、診断名や障害の特性など記した診断書が必要になる事があります。
これは就職先に提出したり、様々な公的サービスを利用したりするときに必要となります。
この診断書を提出すると、障害特性に合わせて仕事内容に考慮が受けられたり、障害や疾患に配慮した職場環境で働く事の出来る障害者雇用枠の範囲で求人に応募出来たりと様々なサービスを受ける事が出来ます。
また障害者手帳の申請を行うと、税金の割引も受ける事も可能です。
診断書は発行までに時間がかかってしまう事もあるので、必要になった時はなるべく早く申請する事をオススメ致します。
発達障害の診断にデメリットはあるのか?
発達障害の特性を認識しながらも受診をためらう人の理由として、
「お金をかけたくない」
「生活に色んな制限が出てきそう」
「転職に不利になるのではないか」
といった点が多く挙げられます。
しかし、受診する事で起こるデメリットはなく、逆に発達障害と診断されることによって
「今までどんなに頑張っても出来なかったけど、ちゃんと理由があったんだ」
「発達障害の診断名が分かって、対処法がより明確になった」
など安心の意見が多くあるそうです。
就職に関しても、発達障害と診断されたから職を失う、転職を余儀なくされるといったことはなく、むしろ配慮を受けられて安心した雇用環境のもとで働く事が出来るようになるので安心して受診して頂くことが出来ます。
まとめ
今回は発達障害の受診に関して役立つ情報をたくさんご紹介する事が出来ました。
自分自身、もしくはあなたのお子さんが発達障害なのではないか?と思った時、つい受診をためらってしまうということがあるかもしれません。
しかし、現在障害者に対する様々な取り組みやサービスによって、障害を抱えておられる方が生活しやすい環境が実現しています。
就職や普段の生活などに関して、受診する事でむしろ安心する、対処法が明確になるといったメリットを感じられる方も少なくないので、発達障害を疑っておられる方は是非安心して受診なさってください。