多くの方がダウン症ということばを耳にしたことがあるかと思います。

ダウン症と聞くと特徴的な目などの外見的な部分を思い浮かべる方が多いと思われますが、その他どのような特性があり、どういった支援をしていけば良いのでしょうか。

ダウン症とは

ダウン症とは、正式な名前がダウン症候群といわれ、21番の染色体異常によって引き起こされます。

運動機能や社会性など、全体的な発達の遅れや特徴的な外見、個人差がありますが軽度の知的障害がある場合があります。

またダウン症のダウンとは、発見者であるイギリスの眼科医ジョン・ラングトン・ハイドン・ダウンの名前から名付けられました。

ダウン症の特徴

ダウン症には身体的な部分や成長、発達の上での特徴が見られ、個人差はありますが全体的に以下のような特徴が見られます。

身体的特徴

フロッピーインファントと言われる柔らかい体をしていることや、細く吊り上がった目や低身長などの身体的な特徴があります。また先天性の心疾患や白血病など、心臓の他に呼吸器、目、耳、鼻など合併症を持つことが多いです。

運動機能的特徴

全体的に低緊張や筋肉弱化などバランス反応に乏しかったり手指の分離運動や模範活動が遅れがちであったり、日常生活面では転びやすかったり体が疲れやすく、また学習や遊びも長続きしない場合があります。

社会生活上の特徴

性格は陽気だが気分屋で依存的、常同行為がみられます。
言語理解などコミュニケーション能力は良好ですが、それに比べて発話が遅く、発話不明瞭な場合もあります。

感受性が強く、他人の気持ちを汲んだり、思いやりの気持ちが強いです。

また、ストレスコントロールや体の発達の関係で強いこだわりや常同行動がみられることもあります。

支援における合理的配慮

ダウン症のお子さんと接していく上で、成長や発達のために理解しなくてはいけないことがいくつかあります。

できなかったりゆっくりだからといって強く叱責したり、焦らせたりすることは逆効果です。

接する上では以下のポイントが重要になります。

強いこだわりや常同行動を禁止しないこと

ダウン症の特徴として同じ動きを何度も行ったり、帰り道や帰宅した際のルーティンなど頑固なこだわりの部分が見られますが、一見無意味なように見えますが、これは発達段階の自己刺激によって感覚を知ることや、自己のストレスコントロールのためですので、禁止せずに見守りましょう。

焦らせないこと

ダウン症の人の成長は全体的にゆっくりです。しかし時間をかける分しっかり習得し、手先も器用なのです。そこで焦らせてしまうと逆効果となってしまいますので、1つ1つのスモールステップを褒め、焦らずにゆっくり成長を見守りましょう。

見せ方や言葉でわかりやすく伝えること

抽象的な言葉を理解するのが難しい傾向にあることや、視覚的に物事を理解するのが得意な部分から、写真やイラストを用いたり、大きくゆっくり話すことが大切です。

ストレスを軽減させること

感受性が強い分何事にも緊張しがちで精神的にストレスを感じやすい傾向があります。
それが引き金となって大人になってから二次障害を起こしてしまうこともあります。

絵を描いたり音楽を聴いたり踊ったりと本人が好きな事をさせてストレスを軽減できる工夫をすることが大切です。

まとめ

ダウン症の人は成長・発達ともに全体的に緩やかですが、個々に合った支援をしていけばその人の才能や能力を最大限に発揮することができます。

最近では専門分野の高い大学に進学されている方や自動車免許を取得して車を運転している方、ダンサーや音楽家などのアーティストとして活躍されている方もいます。

特性を理解した上で、ゆっくりでも確実に成長していけるように周囲の人と協力しながら成長を見守っていくことが大切です。