強迫性障害という病気は、なかなか理解されないものです。

しかし、強迫性障害を患っている当人は、真剣に悩み苦しんでいます。

やはり、周りに強迫性障害を発症した人がいるのなら、その症状を理解すべきでしょう。

強迫性障害の主な症状について

 「本人の意思に沿わないのにも関わらず、非常識的な考えや行動をしてしまう」というのが、強迫性障害の主な症状になります。

 例えば、強迫性障害の症例の1つに、「何の根拠もないのに、上司が自分を退職に追い込んでいると感じて不安になる」というものがあります。

この場合、当の本人ですら、「そんな考えはおかしい」と理解できています。

しかし、「上司が自分を退職に追い込んでいるのでは」という考えが、頭から離れないのです。

 このように、当の本人ですら「おかしい」と理解しているのにも関わらず、非常識的な考えや行動をしてしまうのが、強迫性障害の厄介なところになります。

強迫性障害の症状の例

強迫性障害とは言っても、その症例は多岐に渡ります。
ここからは、代表的な強迫性障害の症例を7個紹介してゆきますね。

「おかしな考え(行動)だな」と思われる症例もあるでしょうが、強迫性障害を患っている当人は、真剣に悩み苦しんでいるんですよ。

何度も何度も手を洗う

 少しでも不潔だと感じられることに気を許せず、何度も何度も手を洗うという症例があります。

例えば、「他人と共有する物を触るたびに、手を洗わないと気が済まない」という症状があるものです。

この場合、会社内でも繰り返し手洗いをすることになるため、仕事に集中できなくなる可能性は高いでしょう。

戸締りしたか過剰に気にして、確認のために帰宅する

 戸締りをしたかを過剰に気にして、「99.9%大丈夫」だということが理解できていても、確認のために自宅に戻ることがあります。

また、確認のために自宅に戻って、改めて出かけようとしている中で、再び戸締りをしたか不安になって、自宅に戻るということもあります。

 このように、自宅に戻るわけですから、会社に遅刻するかもしれませんね。また、仕事中に「カギ閉めてきたかな」と不安になって、早退をしてしまうことがあるかもしれません。

車運転後に「気づかぬ事故を起こしたのでは」と考える

 車を運転して帰宅した後に、「自分の運転」を思い返して、「気づかぬうちに事故を起こしたのでは」と考えます。

 例えば、コンビニの駐車場に入るとき、タイヤが縁石に触れて、「少しの衝撃」が起きたとします。

そのときは、「縁石に触れたから衝撃が起きたんだ」を理解して、問題なくコンビニでの用事を済ませられます。

しかし、家に帰って来ると、「縁石に触れたのではなく、人を轢いたから衝撃が起きたのでは?」なんて考えるのです。

 この場合、「人を轢いていないか」を確認したくて、わざわざコンビニまで戻ることがあります。

また、「人を轢いてたらひき逃げになるから逮捕される」などという感じに、過剰に不安になることもあるでしょう。

過剰にジンクスを気にする

 ジンクスを気にすることは、ごく普通なことですよね。例えば、「このルートで会社に行くと調子がいい」という理由から、毎日「同じ道」を使う人がいるでしょう。

 しかし、強迫性障害を患っている場合、「同じ道」を通れないと、かなりの不安になることがあります。

例えば、「同じ道」が工事されていて通れなかった場合、「今日は不遇なことが起こるのでは」と不安になり、仕事に集中できなくなることもあるのです。

書類に間違いがないか、何度も何度も確認する

 書類を完成させた後に、間違いがないか確認をするのは大切ですね。

しかし、強迫性障害を持っている場合、この確認作業がかなり増えることがあります。

 「間違えてはいけない…」という思いから、何度も何度も確認をするのです。

それこそ、寝る間も惜しんで、確認をすることがあります。

また、寝ようとしても、「書類のこと」が頭から離れず、結局ベッドから出て確認をしてしまうこともありますよ。

最悪の結末を想定する

 何か物事が起きたときに、「最悪の結末」を想定して、「絶対にそうなる」と考えてしまうことがあります。

 例えば、上司の机にコーヒーをこぼしたもののきちんと謝って許してもらえたとします。

この場合、「上司に恨まれてパワハラをされるかも」という感じに最悪の結末を想定してしまうのです。

完璧を求め、少しの油断や甘えも許さない

 難しい仕事を頼まれて、精神的に苦しくなっているとします。

しかし、健常者であれば、上手に手を抜いたり、ときには気分転換をして、難しい仕事をこなしてゆきますよね。

 しかし、強迫性障害を持っている場合、完璧を求めてしまい、少しの油断や甘えも辞さないことがあるのです。

例えば、難しい仕事を頼まれた場合、(悪い意味で)真剣に取り組もうとして、結果的にメンタルが弱ってゆくことがあるのです。

まとめ

 強迫性障害の場合、「本人の意思に沿わないのにも関わらず、非常識的な考えや行動をしてしまう」という主症状が出てしまいます。

また、細かく見てゆくと、「何度も何度も手を洗う」「最悪の結末を想定する」などという症状が出たりします。

 「強迫性障害の人」を見ると、「おかしな考え(行動)だな」と思いがちです。

しかし、強迫性障害の人は、真剣に苦しんでいるので、きちんとフォローするべきでしょう。