身近な人が引きこもりになると、どうしても「どうしたら出てきてくれるんだろう」「自分の育て方が悪かったのだろうか」と悩んでしまいますね。

「いつまで引きこもっているんだ!」と怒ってしまいそうになることもあるでしょう。

けれど、引きこもっている原因が、発達障害だったら。

育て方が原因ではないけど、家族の呼びかけには答えられない。

本人の努力だけで出ることは不可能に近い。

本当に引きこもりの原因が発達障害なのか、どうして発達障害があると引きこもりになってしまうのかを明らかにします。

引きこもりは発達障害の二次障害

発達障害には、「二次障害」というものがあります。

発達障害でありながら適切な療育がされていないと、長い時間、不満や苦痛が蓄積されて、うつ病、不安障害、依存症、引きこもりなどになってしまいます。

この二次障害が起きたあとに病院に行った結果、発達障害がわかることも少なくありません。

実際、精神保健福祉センターでは、引きこもり相談のうち、全体の約30%が発達障害と診断されたという報告もあります。

発達障害が引きこもりの原因になるのはなぜ?

では、どうして引きこもりに発達障害が多いのでしょうか。

幼児期に発達障害を見過ごされることが多いため

発達障害というと、しゃべれなかったり、知的に問題があったりする方を想像されるでしょう。

しかし、発達障害は、よくしゃべったり、成績上位にいるような頭のよい子でも診断されることがあります。

ADHDや高機能自閉症、アスペルガー、学習障害に多いです。

言葉や知能の遅れがないため、性格や個性だといって見過ごされてしまいます。

高機能自閉症なら、言葉の遅れが多少あります。

けれど、幼児期を過ぎると語彙力が増えて、まわりと同じぐらいに話せるようになりますし、発音やアクセントも間違えません。

学習障害でも、算数ができないことだけにあらわれていたら、算数が苦手なのだと思われて終わりですよね。

また、ADHDなら、無気力、物忘れが多い、部屋を片付けられない、時間を守れない、空気が読めない。

これぐらいなら、どこにでもいるような気がしませんか?

たしかに、知能の遅れがないと、性格と障害の区別はつきにくいです。

だからこそ、いくら叱っても直らない場合は、本当に怠けているだけなのかどうなのかをしっかり見なければいけません。

けれど、ほとんどの人は「やればできるのにやろうとしない」「本人は気にしていないんだ」と思い込み、嫌ったり、何度も叱ってしまいます。

仕方がないことです。

ただ、本人は、どうしてできないのだろう…と悩みつづけ、「自分はなんてだめなやつなんだ」と心を閉ざし、引きこもってしまいます。

発達障害の人は脳の機能的にストレスに弱い

同じく苦しい環境にいても、脳の機能が発達していて健康的な人はストレスに強く、普通に生活でき、向上心も見られます。

けれど、脳の機能が未発達だと、物事に不安やストレスを感じやすくなり、生活もままなりません。

発達障害の人は、やる気や快感などを司るドーパミンを脳に送る経路が弱いため、負の感情ばかり生まれてしまうのではないかといわれています。

そのうえ、まわりから理解されず、叱責されることが頻繁なのが、軽度発達障害の人たちです。

なおさらストレスであり、自己肯定感が一気に下がってしまいます。

自信がないため、人の反応を過剰に気にしたり、人の目がこわくなり、部屋に塞ぎこみます。

引きこもりを改善するには?

子どもの頃を振り返りましょう

まずは、お子さんが小さかったころの記憶が大切です。

多くは1歳~3歳のあいだに、まわりと、ちょっとした違いがあらわれます。

こだわりが強かったり、少し元気すぎることがあったりしませんでしたか?

「少し変わった子」という印象をもたれていたなら、その印象は間違いないかもしれません。

精神科に相談する

引きこもりには、今お知らせした発達障害と、社会的要因によるものと分けられます。

社会的要因の場合は、その要因にかかわるキズを癒したり、要因を取り除くことで改善します。

しかし、発達障害の場合は、要因をひとつ解決しても、また別のことがストレスになります。

通常の治療とはちがって、まわりの人の対応、環境そのものを変える必要が出てくるでしょう。

発達障害にたいする治療は子どもでも大人であっても有効です。

発達障害が原因かもしれないと気づいたら、早めに、精神科に相談することをおすすめします。

まとめ

発達障害と引きこもりの関係は深いです。

発達障害があることで、まわりに合わせられなかったり、コミュニケーションに失敗したり、理解されずに非難されたりします。

脳の機能的にも負の感情が生まれやすく、疎外感、ストレス、自信を失い、部屋にひきこもってしまいます。

大切なことは、お子さんの様子に早く気づいて、適切な療育をおこなうことです。

大人になってからでも遅くはありません。

子どもなら児童精神科、大人なら精神科や心療内科、または発達障害支援センターで検査を受けましょう。

参考資料

・書籍
大人の発達障害サポートブック(ナツメ社)

・サイト
引きこもりと発達障害