親や友達、誰にさわられても不快に感じる。

人に反応を笑われたことがある。

服の感触が気になって、なかなか服を決められない。

こういった経験があるなら「触覚過敏」が疑われます。

じゃあ、もしかして「発達障害?」と思う人もいるかもしれませんが、触覚過敏だけでは発達障害とはいえません。

触覚過敏とはなにか、原因や対策などを見ていきましょう。

触覚過敏とは

触覚防衛反応ともいわれます。

人に触れられたときや物に触れたとき、刺激を強く感じたり、言葉では説明できないほど本能的に「不快だ!」と感じる症状のことです。

防衛反応といわれるだけあって、理由のわからない怒りや恐怖を感じる人もいます。

逆に「自分からさわるのは平気」という人もいて、対人関係がこじれることもあります。

多くの人が理解されず、「この感触がイヤ」と伝えても、「何度もさわれば慣れる」といってよく慣れで矯正させられることがあります。

また皆がぬるいぐらいに感じていることを「熱い!」と言ったり、シャワーが痛いと反応すると、オーバーリアクションだといって笑われることもあり、人に言えず、ひとり悩んでしまう人もいます。

触覚過敏があるとどうなる?

家族に抱っこしてもらったり、遊んでもらったりするときも触覚が関わっています。

日常の中にある道具を使うためには道具をさわらないといけません。

触覚過敏があると、どのようになってしまうのでしょうか。

人を避けるようになる

子どもの頃に親に抱きしめられることもあったでしょう。

触覚過敏があると、ぎゅうぎゅうに抱きしめられているわけでないのに、恐怖や圧迫感を余計に感じ、親や家族にふれられることを嫌がります。

また子どもの頃は大人と目を合わせると、近づかれたり、頭をなでられたりすることがありますね。

そこで子どもは不快感を避けるために、「目を合わさない⇒さわられない」と覚えることがあります。すると、大人になっても人と目を合わせられません。

また理解がない人にさわられたり、強制的に感触を慣れさせられると、人を避けるようになります。

服装にすごくこだわる

ある素材を「痛い」と思ったり、タグをやけどのようにヒリヒリ感じたりします。

服、帽子、メガネ、マスク、靴下など身につけるものすべてにこだわり、気に入らない服を親が買ってくると怒ってしまう子もいます。

試着しないと服が買えません。

試着で感じる不快感にたえられず、同じ服を何着もそろえる人もいます。

触覚が鈍いこともある

体にふれるものをこだわる一方で、暑さや寒さ、本来の痛みがわからないことがあります。

血が出ていたり、頭を床に打ち付けても平気でいる人や、夏にセーター、冬に半袖で過ごす人もいます。

どうして触覚過敏になる?

人の触覚は「原始系」と「識別系」の2つに分けられます。

原始系は、火を見ると「危険!」と感じたり、危険を回避するために反射的にモノを掴むときに働く本能のようなものです。

識別系は、暗がりで見えなくても必要なものを掴みとることができるなど、生きていくなかで学んだ感覚のことをいいます。

人は成長するなかで人やものにさわって、安心できるもの、心地がよいもの、何をするものかを感覚として識別していきます。

そのなかで危険と思うもの(わからない不安や恐怖)がへっていきます。

触覚防衛反応の原因は、脳の認識機能に問題があり、識別系よりも原始系が大きく反応するようになったからだと考えられています。

触覚過敏の治療・対策は?

脳の認識機能を治すのは、現在の医療ではむずかしいです。

自分がキライな感触を理解して、触覚過敏を和らげる工夫をしたり、まわりに協力をしてもらって、不快な刺激を避けるようにしましょう。

手袋を身につける

気に入った素材の手袋を身につければ、ふれても不快感がへります。

なにかモノをさわらなくてはいけないとき、手袋を活用しましょう。

同じ道具でも代わりになるものを考えておく

同じものでもプラスチック製のものや紙製のものに変えたりして、さわっても大丈夫なものを見つけておくとよいでしょう。

急にさわらない

まわりの人は急にさわったり、肩を叩いて振り向かせたりしないでください。

触覚過敏の人のなかには「さわられることがわかっているなら大丈夫」という人もいます。

声をかけてからさわったり、目に入る位置からさわるようにしましょう。

まわりに伝える

触覚過敏の人も自分のキライな感触をまわりに伝えておくことが大切です。

過敏を知らない場合、「拒絶された」とショックを受ける人もいるからです。

人に症状を伝えることは、配慮してもらうだけでなく、まわりへの配慮にもつながります。

まとめ

触覚過敏があると、人や物にふれることを嫌がります。

身につけるものすべてにこだわるという特徴もあります。

まわりから見ると、リアクションが大きい!いつか慣れる!と思うかもしれませんが、触覚過敏をもつ人たちは原始的な危機感におそわれ、苦しんでいます。

まずは理由を聞いて、嫌がることをムリにしないようにしてください。

触覚過敏の対策は、本人の努力とまわりの配慮が重要になります。