蛍光灯や日光がまぶしく感じたり、文字がハッキリ読めないといった経験はありませんか?

またはそれほど興味がないはずなのに、1つのものを目で追ってしまったり。

もし心当たりがあれば、「視覚過敏」かもしれません。

視覚過敏の正しい知識、原因や治療、日常での対策をご紹介します。

視覚過敏とは

「光の感受性障害」や「アーレンシンドローム」「アーレン症候群」とも呼ばれます。

1980年代にカリフォルニアの学校心理士「ヘレン・アーレン」が明らかにしました。

ほかの人よりも、ある特定の光を強く感じたり、光の刺激を受けすぎてよく見えないという症状を指します。

ひどい場合は、疲れ、めまいや頭痛が起こって、パニックになったり、倒れてしまう人もいます。

視覚過敏はまわりに理解されないことのほうが多いです。

感覚の問題なので、違和感を伝えても「そのうち治るんじゃない?」「気のせいだよ」と言われ、そのままにしてしまう人。

幼い頃から過敏な状態で景色を見ているから、これが普通だと思っている人。

視界は人とくらべることができないので、気づきにくいのです。

視覚過敏があるとどうなる?

人が情報を得るために最も使われているのが「視覚」です。

何気なく見ているかもしれませんが、あらゆる刺激が入り、脳が光や色を認識しています。

この器官に問題があると、どのように見えるのでしょうか。

光をまぶしく感じる

皆が苦しいと感じない光をまぶしく感じるので、日除けがないと外で歩くことすらままなりません。

今の時代、光がより強くなったLEDを使用しているところが多く、学校や会社にいづらくなっている人もいます。

人と目を合わせられない

人の顔が「ピカソが描いた二次元のモザイク画のように見える」という人もいて、目線を合わせるのがむずかしいことがあります。

ある特定のモノを見続ける

自閉症のお子さんによく見られることですが、理髪店の看板などクルクル回るものをいつまでも見つめていることがあります。

これも視覚過敏の影響です。

読み書きがむずかしくなる

白紙に黒い字といったようにコントラストがハッキリしているとまぶしく感じて見られないことがあります。

そのほか文字がゆがんで見えたり、波打って見えることもあります。

勉強や仕事がすすまないのは、この現象が関わっているからかもしれません。

■洗浄現象
白紙の白い部分がまぶしすぎて黒い文字の一部が消えて見える現象

■光背現象
光がネオン効果を生じさせて、文字が浮いたように見える現象

■ぼやけ現象
文字がぼやける現象

■リバー現象
長い文章の文字が部分的にくっついて見えて、空白がいくつもできてしまう現象

たとえ   ばこの  ように
みえます。 どうで しょうか。
みえや  すいで しょうか。

上から見ると「川」のように見えることから、リバー現象といいます。

■オーバーラップ現象
行間がほぼなくなって、一部重なっているように見える現象

■シーソー現象
キレイに横書きされている文字が、シーソーのように上下に動く現象

■回転現象
文字が回転しているように見える現象

■シェイキー現象
文字がシェイクのように揺れて見える現象

視覚過敏の原因・治療法は?

過敏と聞くと、発達障害や知的障害、精神病などをイメージされるかもしれませんが、とくに障害や病気が原因ではありません。

たしかに障害をもつ方に多いのですが、視覚過敏は発達障害のひとつ「LD」と勘違いされることがあります。

また教科書や黒板が見えにくいから勉強をしないのに、やる気を失っているのを「ADHD」だと判断されることもあり、視覚過敏=障害とはいえません。

原因やメカニズムが明らかになっておらず、有効な治療法は見つかっていないのが現状です。

視覚過敏の対策

けれど視覚過敏の症状を軽減する方法がわかっています。

日常生活をスムーズに過ごすための対策をご紹介します。

色付きメガネを使う

視覚過敏の人は光の三原色、赤、青、黄のどれかが強く感じる人や、すべての色を強く感じる人がいます。

色付きレンズをつけたメガネで、強い色をカバーすることができます。

青い光なら黄色のメガネ、赤い光が強く感じるときは水色のメガネ。

その色の補色を使うことで、「見えやすくなった」という人が増えています。

すべての色が強く見えている方は、遮光グラスを利用しましょう。

帽子や下敷きを使う

色付きメガネが着けづらいと思う方は、帽子を深くかぶって視界を狭めましょう。

文字を読むときだけでいいなら、色付きの下敷きをおすすめします。

教科書や本などに薄い水色がかった透明の下敷きをかぶせて見れば、文字が読みやすくなります。

ときどき目を休ませて

視覚過敏は疲れたり、体調不良だと悪化することがわかっています。

電車に乗っていたり、座っていたりするときは目を閉じて休ませましょう。

仕切りをたてる

いろいろな光の刺激が目に入って集中できないときは、パーテーションで仕切ったり、窓際の席に移動させてもらいます。

学校や職場なら、まわりの理解が必要ですね。

あらかじめ視覚過敏のことを伝えておくようにしましょう。

まとめ

視覚過敏は多くの人が理解されず、自覚症状がない人もいます。

日常生活、勉強や仕事でとても大変な思いをされています。

視界に違和感があると言われたら、決して「気のせい」だと軽く答えないで、原因を一緒に探してあげてください。

逆に自分が「もしかしたら…」と不安なとき、「とりあえず近くの眼科」に行くのはおすすめしません。

医者に「眼に異常はない」と診断されたら、勘違いがすすんでしまうのではないでしょうか。

視覚過敏に理解ある眼科を探して、正しい診断をしてもらいましょう。