放課後等デイサービスも日中一時支援も「障害をもつ子どもが通う場所」という認識でしょう。

また利用料が1割負担であることや、申請から入所までの手続きにも、あまりちがいはありません。

2つのちがうところは、「役割・目的・内容」です。

この記事で、放課後等デイサービスと日中一時支援のちがいを確認しましょう。

役割・目的のちがい

放課後等デイサービスは「児童福祉改正法」で管理されており、運営の役割、目的や内容がとても細かく決められています。

日中一時支援は「障害者総合支援法」にもとづき、地域生活支援事業に位置付けられています。各自治体の任意事業になるので、目的や内容が細かく定まっていません。

なので放課後等デイサービスと、日中一時支援の大きなちがいは、役割や目的になります。

放課後等デイサービスは子どもの療育が目的

厚生労働省のガイドラインには、放課後等デイサービスの役割について、つぎのように書かれています。

・子どもの最善の利益の保証
・共生社会の実現に向けた後方支援
・保護者支援

放課後等デイサービスの一番の目的は子どもの療育です。

子どもを積極的に支援するほか、子育ての悩み相談に乗ったり、家庭での養育をサポートしたりする「保護者支援」をおこなうことで、障害をもつ子どもの健全な育成を促しています。

日中一時支援はレスパイトケアが目的

日中一時支援は、一時的に子どもを預かることで、保護者の時間を確保したり、精神的な余裕を取りもどすことが主な目的です。

厚生労働省の通達にも、「日中一時支援事業は、障害者の日中の活動の場を確保し、障害者などの家族の就労支援や、日常的に障害者を介助している家族の一時的な休息を目的とする」とあります。

サービス内容のちがい

この目的とあわせて、2つは内容にちがいがあります。

放課後等デイサービスの内容

専門的な知識をもつ児童発達管理責任者が子どもの個別支援計画を作成し、細かい計画にもとづいて、子どもを継続的に支援します。

支援する内容もガイドラインに載っています。

①自立支援と日常生活の充実のための活動
②創作活動
③地域社会との交流の機会の提供
④余暇活動の提供

自立支援、基本的な生活能力の向上や、創作活動をすることで豊かな感性を育て、地域社会との交流をふやすなど、子どものためになる活動が中心です。

自立支援に力をいれているところや、創作活動など習い事のような施設、社会科見学などをたくさん実施して、地域社会との交流に力をいれているところもあります。

日中一時支援の内容

日中一時支援は細かい決まりがないので、放課後等デイサービスほど細かく子どもを支援することが決められていません。

社会に適応するための訓練を一緒におこなう施設もあれば、子どもが楽しく遊んだり、落ち着いて過ごしたり、子どもを安全に預かることを第一とする施設もあります。

利用年齢・利用期間のちがい

放課後等デイサービスと日中一時支援は、利用できる年齢や時間などのちがいもあります。

放課後等デイサービスは細かく決められている

放課後等デイサービスを利用できる対象は、受給者証をもった6~18歳の就学児童です。(18歳になったあとも同じ施設の支援が必要な場合は、20歳まで同じ放課後等デイサービスに通うことができます。)

基本的に利用が可能な時間帯は、学校終わりの放課後や土曜日、祝日、夏休みなど長期休暇のときです。

学校終わりから17時半ごろまで、休みの日は朝の10時から16時ごろまでとしている施設がほとんどです。

日中一時支援は自由度が高い

日中一時支援は療育手帳・障害者手帳をもつ人や、短期入所を認められた人が対象です。

年齢は幅広く、1~64歳までの人が利用できます。施設によって、年齢制限を設けているところがあるので、通所条件などを確認しておきましょう。

時間は日中だけでなく、日曜日や、夜の18時以降に利用できる施設もあります。

放課後等デイサービスに向いているのは?

放課後等デイサービスに提供してもらえるのは「子どもの教育」です。

・子どもに専門的な療育を求めている人
・継続的な支援がほしい
・子育て相談やサポートがほしい

日中一時支援に向いているのは?

日中一時支援は放課後等デイサービスで補うことができない場合に併用されることがあります。

また放課後等デイサービスは小さい子どもが多いので、大きな学年の子は支援内容が合わないときがあります。

・18時以降など夜遅くも預かってほしい
・放課後等デイサービスの定員に空きが出るまで利用したい
・放課後等デイサービスの契約日数では足りないので、あわせて利用したい

まとめ

放課後等デイサービスと、日中一時支援は目的や役割、内容がちがいます。

子どもの療育を中心にするなら「放課後等デイサービス」、放課後等デイサービスを利用できなかったり、時間的な支援が必要であったりするときは、「日中一時支援」です。

学校の終わりは「放課後等デイサービス」を利用し、日曜日や夜遅くは「日中一時支援」を利用するなど併用する人もいます。

子どもや家庭に必要な支援を考えて、放課後等デイサービスや日中一時支援の施設を利用しましょう。