放課後等デイサービスが始めた当初は、そこの事業所も預かって遊びや居場所の提供をすることに重点を置かれていましたが、最近では就労準備型や運動療育型などの様々な療育方法やや育成スキルに特化したコンテンツ型の施設が増えてきており、事業所ごとの特色がかなり違ってきます。

今回は運動療育型放課後等デイサービスについて説明していきたいと思います。

運動療育型放課後等デイサービスとは?

運動療育型(運動学習特化型や運動特化型など事業所によって呼称は様々です。)放課後等デイサービスとは、放課後等デイサービスにおいて運動療育に特化した事業所の事を言い、運動で体を動かすことによって脳を刺激・活性化し日常動作の訓練を行います。

運動療育について

運動療育とは、運動で体を動かすことを通して脳を刺激して活性化させることや、集団で運動することで協力やコミュニケーション、順番を待つなどの社会性を学ぶことができる療育方法です。

また、身体のぎこちなさや不器用さが気になるお子さんにとって早期から身体を動かすトレーニングをすることで、身体を上手に動かすことや手先の感覚が発達していくことができます。

その運動療育の中でも放課後等デイサービスや児童発達支援で基礎として重点を置かれているのが「感覚統合」と言われる五感に刺激を与え、感覚器官から脳に伝達する情報整理や処理能力をトレーニングし、脳からの的確な指令で体を上手に動かせるようになる方法です。

感覚統合の必要性

発達障害のあるお子さんはこの感覚情報の整理や処理が脳の機能的に難しいケースがあり、服を着替えたりなどの日常行動の中の複雑な動作が苦手であったり、感覚過敏や鈍かったりするお子さんが多いです。

そのため視覚、前庭覚、固有覚、触覚、聴覚というお子さんの発達していく段階において基礎の感覚である五感を凹凸の無いように訓練していくのが運動療育の上で重要になってきます。

その基礎感覚ができあがった後の発達段階は以下のようになっていきます。

姿勢や眼球運動

上手に座ることや手足の使いやすさ、文字を読むことやボールを目で追う等の動作。

身体図式、運動企画

ボディイメージや運動するときの順序立て、利き手と非利き手の使い分け等。

目と手の協応、言語など

鉛筆やお箸、ハサミなどの道具を使うことや字を書くこと。具体的な感覚運動を通して抽象的な言葉を発達させること。

教科の学習

上記の3つの発達を基に「集中力・注意力・学習能力・自信」に繋がり、学習の基礎や社会生活に必要な能力を身につけること。

このような4つの発達段階になるため、基礎ができていない状態で次の段階の事を行ってもうまくいかないことや、最悪はケガに繋がってしまうこともあります。

感覚統合はこの発達段階の基礎作りとして運動療育型の放課後等デイサービスや児童発達支援で取り入れられることが多いです。

どんな人が運動療育をしてくれるの?

基本的には放課後等デイサービスのため、働いているのは保育士や児童指導員がほとんどになりますが、メインの運動療育に関しては感覚統合や体の動きに専門的な知識や経験を積んでいる作業療法士や理学療法士、言語聴覚士などのリハビリテーション専門職のスタッフが行うことが多いです。

もちろん専門的なスタッフだけではなく、運動療育に適したトランポリンや跳び箱、平均台など通常の放課後等デイサービスにはあまり見ることのない設備も備わっています。

まとめ

運動療育には専門的な知識やスタッフ、施設や設備が必要になってくるため数は多くありませんが、お子さんの発達段階の基礎として重要な療育プログラムの一つとなっています。

しかし早い段階で運動や遊びを通して発達の基礎を作り上げることによって、読み書きや社会性などの生きていく上で重要なスキルの向上や生きづらさへの解決に繋がっていくと思います。