放課後等デイサービスが始まった当初は、どこの事業所も発達が気になるお子さんや障害のあるお子さんを預かって遊びや居場所の提供をすることに重点が置かれていました。
しかし最近では、就労準備型や運動療育型などの様々な療育に特化したコンテンツ型の放課後等デイサービスが増えてきており、事業所ごとの特色があります。
今回は、就労準備型や運動療育型に比べるとまだ少ないですが、自立を目指す上で欠かせない「生活能力」の向上に重点を置いた「生活訓練型放課後等デイサービス」について説明します。
生活訓練型放課後等デイサービスとは
生活訓練型放課後等デイサービスとは、特定のコンテンツに特化している放課後等デイサービスの種類の一つです。
放課後や学校の休業日に発達が気になるお子さんや障害のあるお子さんの療育として認知機能のトレーニングやLST(ライフスキルトレーニング)、余暇活動などを通して、総合的な視点で自立することに欠かせない「生活能力」のトレーニングに特化した放課後等デイサービスです。
この生活能力は、日常生活や学習、運動など、成長過程で必要になる様々なスキルの基盤となります。
生活訓練型放課後等デイサービスの療育内容
生活訓練型放課後等デイサービスで基本的におこなわれている療育の内容は、五感を通して脳の認知機能を鍛える「認知トレーニング」やプリントや実践を通した身だしなみや買い物練習などの自立をする上で欠かせない生活上のスキルをトレーニングする「ライフスキルトレーニング」が中心です。
また、集団でおこなうレクリエーションやお出かけイベントなどの余暇活動もあり、こうした余暇も対人関係の学びや公共交通機関の練習が狙いとなっています。
ライフスキルトレーニング
ライフスキルトレーニングでは発達の気になるお子さんや障害のあるお子さんに「衣食住」やコミュニケーションなどの向上を目的にトレーニングをおこないます。
ライフスキルトレーニングのライフスキルとはもともと、 1997年にWHO(世界保健機関)が学生のために作った「より学生が日常生活を送るにあたって必要になってくる10項目のスキル」のことです。
①意志スキル
②問題解決スキル
③創造的思考
④批判的思考
⑤コミュニケーションスキル
⑥対人関係スキル
⑦自己認知
⑧共感的理解
⑨情動に対処するスキル
⑩ストレスに対処するスキル
しかしこれらのライフスキルは発達が気になるお子さんや障害のあるお子さんにはすべて習得するのが難しいため、療育においてのライフスキルはこれを基に習得しやすい内容に変えてあります。
・身だしなみ・・・身だしなみ等を整える方法や手順の練習
・健康管理 ・・・肥満や体調不良、病気に対処する方法などの知識付与
・住まい ・・・片付ける方法や管理の仕方などの管理能力の向上
・金銭管理 ・・・買い物練習などを通し金銭感覚やお金の種類の勉強
・進路選択 ・・・自己を客観的に見る機会を作り、自己理解する力の向上
・外出 ・・・情報の選択、計画の立案・実行等の練習、情報処理能力の向上
・対人関係 ・・・困難さの軽減の為に人を頼ることやマナーやルールの練習
・余暇 ・・・余暇の幅を広げて自由時間を有意義に過ごす練習
・地域参加 ・・・地域行事の参加や家庭・学校以外の居場所づくりのサポート
・法的な問題・・・ルールの理解や人の善悪等の勉強。
このライフスキルのトレーニングの10項目を基本としてトレーニングをおこないます。
具体的な取り組みとしては、買い物練習や時計の読み方や公共交通機関の利用練習、身だしなみや住まいに関わる整理整頓や清掃といったことのトレーニングになります。
これらはプリントや講義、実践など様々な方法でおこなっています。
さらには保護者と連携した自宅の施錠や留守番といったことや、家族支援として家庭でも取り組める内容の提案などのペアレントトレーニングもおこなうことがあります。
もちろんそれだけではなく、余暇の遊びも自由遊び以外に他児と関わって遊ぶプログラムを提供し、遊びを通して社会性を構築する機会作りをしています。
認知トレーニング
認知トレーニングとは脳の五感から得る情報の処理能力である 認知力向上を目的としたトレーニングで、
- 記憶
- 言語理解
- 知覚
- 注意
- 推論・判断
上記の5つの認知機能のトレーニングになります。
具体的には体の感覚やボディイメージのトレーニングとなる体操などの運動や、点つなぎや間違い探しなどのプリントワークが中心となります。
この認知トレーニングを通して自分の身体や力加減などの身体面や、見る・聞くなどの学習面、感情の読み取りやマナーなどの社会面でのスキルの土台ができ、
「勉強についていけない」
「他人の感情や場の空気が分からない」
「話していることが分からないのにはいと言ってしまう。」
「手先が不器用」
などの日常生活で起こる様々なお困りごとの解決に繋がります。
まとめ
生きていく上で欠かせない生活能力は、発達に遅れのあるお子さんや障害のあるお子さんにとって習得するのが難しく、学校や家庭だけでは負担が大きくなってしまうのも事実です。
そこで、こうした生活訓練型放課後等デイサービスで日常生活のスキルを楽しみながら習得できればお子さんにも保護者の方にも大きなメリットがあるかと思います。
まだまだ少ないタイプの放課後等デイサービスではありますが、今後需要は高まっていくかと思います。
放課後等デイサービスPolaris(ポラリス)教室では、お子さんの生活自立を目指す生活訓練型放課後等デイサービスを展開しています。
ライフスキルトレーニングを中心とした療育で日常生活での身辺自立や生活習慣の改善を目的としています。
詳しくは下記のリンクをご参照ください。