放課後等デイサービスを含めた児童福祉施設で「保育士」の需要が高まっています。

なぜ、児童指導員や社会福祉士だけでなく、保育士が求められているのでしょうか。

保育士は保育園に勤めているイメージがありますね。

また、障害者施設に保育士が在籍していると、どうしてなのだろうと疑問をもつ人もいるかもしれません。

保育士の仕事や現状から、放課後等デイサービスとの関係をご説明します。

2017年に改正された職員の新基準

2014年から2016年にかけて、事故やケガ、事件、公費の不法請求など、児童福祉施設でさまざまな問題が起こりました。

そのため、2017年4月に法改正、2018年4月から職員の配置・新基準が実施されています。

2018年からの職員配置の基準は以下となります。

子どもの利用数10人までの施設の場合、

児童指導員または保育士、障害福祉サービス(2年以上の)経験者が2人。

かつ半数以上が児童指導員または保育士であること。

そして、児童指導員または保育士のうち、必ず1人は常勤でないといけません。

10人を超える場合は、児童指導員・保育士・障害福祉サービス(2年以上の)経験者と、子どもの数が1:5になるようにしなくてはいけません。

子どもが10人だったら2人、子どもが15人だったら3人以上の経験者が必要となります。

放課後等デイサービスに保育士が求められる理由

では、どうして保育士を配置することを求められているのでしょうか。

障害にたいしての経験がある

保育士の教育課程では「障害福祉」も学びます。

また、保育士の実習は保育所だけではありません。

障害者施設などで10日間以上、実習をおこなうことも義務付けられています。

障害施設へ実習をしに行ったことで、障害福祉の方面へすすむ保育士もいます。

このように、保育士はあらゆる子どもに接するといった教育を受けています。

また、一般の保育所でも、発達障害や知的障害をもったお子さんも入園されることもありますよね。

放課後等デイサービスほど密な関係ではありませんが、ほかの児童と同じく、しっかり関わっていかなればいけません。

十分な知識と経験をもっているとして、放課後等デイサービスに保育士が求められます。

放課後等デイサービスなどの保育士の現状は?

平成29年度の調査では16380人ほど

厚生労働省 「平成29年 社会福祉施設等調査の概況」では、保育所以外の児童福祉施設に勤める保育士は、16,380人という結果でした。

これにくらべて、保育所に勤める保育士は363,003人となっており、児童福祉施設に勤める保育士まだまだマイナーであるのが現状です。

保育士加算がある

さらに、放課後等デイサービスは2013年には利用者数約50,000人、事業者数3000件ほどであったのが、2016年には約120,000人、事業者数は約8000件と爆発的に増えており、2020年もまた確実に増えているでしょう。

今後ますます保育士や経験者が求められます。

このような人数増加にあわせて、子どもたちに十分なサポートができるよう、基準以上の人数の保育士・経験者が在籍している事業所を「加算」の対象としています。

これからの放課後等デイサービスと保育士の関係

これからも放課後等デイサービスは増え続けていく可能性が十分にあるので、保育士は欠かせない存在となります。

また、子ども10人にたいして経験者2人では少ないのではないかという指摘もあります。

たしかに、お子さん一人ひとり特性をもっているので、経験者といえど複数人にたいして、きめ細やかな支援はむずかしいでしょう。

そこで、2021年4月の改正には、さらに職員の基準において厳しい措置をとられる可能性があります。

この2021年に備えて、放課後等デイサービスの保育士の需要がますます高くなっていきます。

現職員に保育士の資格を取得させるといった声もあり、保育士の児童福祉施設務めがマイナーではなくなる時代も近いのではないしょうか。

まとめ

放課後等デイサービスと保育士の関係はとても深いものです。

厚生労働省が発表したように、経験のある児童指導員、保育士の配置が義務付けられています。

ただ「ルール」というだけではなく、子どもにきめ細やかな支援をしなければいけないという意味で、保育士の存在は放課後等デイサービスに欠かせません。

放課後等デイサービスにはさまざまな特性をもったお子さんが利用するので、知識・経験あり、対応力ありの保育士はとても必要です。

しかしながら、放課後等デイサービスにたいして、まだまだ保育士の数は少ないです。

たしかに障害をもつお子さんのサポートはとても大変ですが、そのぶん、子どもとの距離は近く、子どもの成長や、やりがいを強く感じられます。

これから保育士を目指す方、または保育士資格をお持ちの方、保育所だけではなく、放課後等デイサービスで子どもの支援も考えてみませんか。

参考サイト・文献