近年、小学校の教育科目にプログラミングが加えられたり、授業をタブレットやパソコン、スマートフォンをつかって受けたりと、ITが教育にもすすんでいますね。
放課後等デイサービスでも、子どもたちにパソコンを教えるところがふえてきています。
障害をもつお子さんにパソコンを習うことをおすすめする理由や、放課後等デイサービスでおこなわれる、パソコン療育の内容を解説します。
放課後等デイサービスでパソコンを習う理由
なぜ、放課後等デイサービスでパソコンを教える施設がふえてきているのでしょうか。
発達障害と相性がよい場合がある
発達障害の特性のひとつは、「作業に集中しすぎる」ことです。
とくにパソコンやゲームは集中しすぎてしまうので、勉強がおろそかになるといって、「パソコンやゲームにはふれさせない」と決めるご家庭もありますね。
しかしパソコンの技術は極めれば極めるほど細かな作業ができ、どこまでも技術を伸ばしていくことができます。
またコミュニケーションのような複雑さはなく、発達障害の子たちが好きで得意な「正しいことがハッキリしていて、ほしい反応が正しく返ってくる単調作業」です。
操作を間違えれば動かず、操作が正しければ、自由に動かすことができるのがコンピューター。
発達障害の集中しすぎるところを、娯楽としてのパソコンではなく、技術として育てていけば、IT系のプロを目指せる可能性が広がっています。
コミュニケーションの手段のひとつになる
自閉症や話すことが得意ではない子どもとは、イラストカードを使ったり、指差しなどをしたりして、コミュニケーションをとってきました。
けれどパソコンが使えるようになると、もっと自由にコミュニケーションをとることが可能です。
メッセージでやり取りをしたり、SNSを使ってたくさんの人と交流したり。
コミュニケーションの手段がふえることで、お互いの理解がすすんだり、人に言いたいことを言えないことの不満やストレスをへらしたりできます。
将来に役立つスキルが身につく
今の時代、どこにいってもスマートフォン、タブレット、パソコンなどITが必要です。
ITを使いこなせないと、置いて行かれるような時代です。
通常教育でもパソコンの操作やプログラミングを学ぶことがふえてきています。
そのようななかで、パソコンをほとんどさわらせないのは危険なこと。将来、就ける仕事が大きくへってしまうでしょう。
障害をもつ子も含め、今の子どもたちは将来に向けて、パソコンの操作や、インターネットやSNSなどの正しい付き合い方を知ることが大事です。
正しい操作や付き合い方を身につければ、パソコンスキルは将来にものすごく役立つものです。
放課後等デイサービスのパソコン学習の内容は?
パソコンにさわったことがない子もご安心ください。
放課後等デイサービスでは、まずパソコンを使うときの正しい着座姿勢を身につけることから始めます。
そしてイラストカードなど一人ひとりにあったコミュニケーションのとり方で教えたり、ゲームなど遊びを通して楽しく学んだりします。
子どもがパソコンを扱えるようになると、パソコン教育に力をいれている放課後等デイサービスでは、1人1台パソコンを使うことができるようになります。
マウス操作
パソコン練習の入門編、マウス操作。
パズルゲームや、ペイント機能をつかってお絵描きをするなど、遊びを通してマウス操作に慣れます。
タイピング
キーボードの指の置き方や、打ち方を学びます。
ローマ字がわかる子は、ローマ字入力から始めます。
タイピングゲームを使って、スコアアップを目指します。
タイピングゲームの結果では、ミス入力の回数や時間、点数が表示されるので、子どもたちが夢中になりやすいです。
仕事にも役立つブラインドタッチを覚えたり、タイピングの検定を受け、資格を取得したりする子もいます。
Web検索・Word・Excel
放課後等デイサービスには、「就労準備型放課後等デイサービス」といって、就労に向けたプログラムをおこなうところもあります。
Web検索の方法やメディアリテラシーなどのインターネットとの付き合い方、WordやExcelの使い方など、将来の仕事に役立つスキルを身につけることができます。
WordやExcelには「Microsoft Office Specialist」という資格があります。MOS取得を目指して、本格的に取り組むところも。
プログラミング
パソコン学習の上級編。プログラミングの基本をゲームなどでわかりやすく学びます。
上達すると、ホームページやゲーム、アニメーションを作成したり、プログラミングで動くロボットを操作したりできるようになります。
まとめ
放課後等デイサービスで、パソコン学習のカリキュラムをおこなうところがふえています。
キーボード、マウスの操作など基本的なことや、WordやExcel、プログラミングなど就職に役立つスキルの向上を目的とするところもあります。
パソコンは社会に出ると必ず使うツールです。また発達障害の「集中しすぎる」特性を生かすことができるものです。
放課後を有効に利用して、インターネットの正しい使い方を覚え、技術を高め、将来の可能性を広げましょう。