赤地に白抜きのプラスとハートマークが描かれた「ヘルプマーク」。
電車やバスの優先席で、なんとなしに見ることが多いですよね。
または、赤いカードをバッグに付けている人を見たことはありませんか?
よく目にすることはあるけれど、その意味を知っている方はいまだ半分ほどです。
実は、目に見えない障害の人にはとても重要なマーク。
このマークの意味や入手方法、ヘルプマークを見かけたらどうしたらよいのかをお伝えします。
ヘルプマークの意味は?
健康そうな若い人が優先席に座っていると、「若いのにどうして座っているんだ」「高齢者にゆずったら?」って思いますよね。
しかし、そんな若い人のなかには、精神病、内的障害や、義足、難病、妊娠初期であるために立ち続けるのがむずかしく、優先席に座っている場合があります。
どれも外見からはわかりにくい病気ですよね。
そんな人たちが、周囲の理解や支援を得られやすくするためにつくられたのが「ヘルプマーク」です。
ヘルプマークをつけている人は、外見からわからない病気や障害をもっていること、理解や支援を求めていることをアピールしています。
ヘルプマークの成り立ち
前東京都議会議員の山加朱美さんが、2012年に都議会でヘルプマークを提案しました。
山加朱美さん自身、人工股関節をいれており、外見ではまったくわからないために不便なことが多かったのです。
そこで、外見から障害とわからない人を周知・理解してもらうために、シンボルマークを提案したのが始まりです。
そして、2012年3月15日に採択され、2012年12月から運用が開始されました。
2019年7月20日には、案内図記号と同じようにJISに追加され、全国共通のマークとなりました。今は認知度が50%ほどとされていますが、今後、ますます普及率が伸びるかもしれません。
ヘルプマークはどこで手に入る?
ヘルプマークをもらうとき、障害者手帳、往診歴など証明書は必要ないところがほとんどです。申請した人すべてに無償で配られます。
市の福祉課や主要駅でも
市の福祉課だけではなく、たとえば東京都では、市営地下鉄駅の駅務室や都営バスの各事業所でもらうことができます。
郵送してもらえるところもある
どうしても人が集まるところに行けない、時間がないというかたもいますよね。
そんなとき、ヘルプマークを郵送してもらうこともできます。
ただ、郵送はどこでもおこなっているわけではないので、お住まいの自治体HPを確認してみてください。
自作しても問題なし
手に入らないときは、ヘルプマークを自作しても大丈夫です。
東京都福祉保健局のホームページに、自作するときのガイドラインが載っています。こちらをご参考ください。
参照: 東京都福祉保健局 「ヘルプマーク作成・活用ガイドライン」
ヘルプマークの使い方
では、ヘルプマークを手に入れたら、どのようにつかうべきでしょうか。
支援してほしいことを記入する
ヘルプマークのカードの裏面には、自分の症状やお願いしたいこと、緊急の連絡先などを書けるメモスペースがあります。
「線維筋痛症のため、席を譲ってください」
「耳が聞こえないので、筆談でお願いします」
「発達障害をもっていてパニックを起こしたり、倒れたりするかもしれません。そのときは救急車を呼び、○○にも連絡をお願いします」
など書いておくと、まわりが対応しやすくなるので、しっかり記入しておきましょう。
バッグなど見えるところにつける
ヘルプマークが見えることで、気にせず優先席に座れたり、席をゆずってもらえたり、万が一のときにも安心して外で過ごすことができます。
まわりにしっかり見えるよう、バッグなど目に入りやすいところにつけましょう。
ヘルプマークをつけている人を見かけたら?
ヘルプマークをつけている人は、外見ではわからない病気や苦痛があり、まわりに援助を求めています。
そこで、大事なことは以下の3つです。
①電車やバスで席をゆずりましょう
②困っているときは声をかける
③災害時の避難を手助けする
①電車やバスで席をゆずりましょう
「席をゆずってもらえませんか?」とは、声をかけづらいですよね。
高齢ならまだしも、健康そうに見える人なら、なおさら席をゆずってほしいとは頼みにくいでしょう。
そして、疲れ・苦痛に耐えきれなくなった結果、症状が悪くなったり、倒れてしまったりすることがあります。
そのため、ヘルプマークを見たときは、こちらから声をかけ、席をゆずりましょう。
②困っているときは声をかける
ヘルプマークは、まわりに支援を求めていることをあらわしています。
困っている、苦しんでいるときは緊急時かもしれません。
「声をかけなくても大丈夫かも」「必要ないかも」と迷わず、声をかけましょう。
聴覚障害や発達障害がある場合、何に困っているのか、どうしてほしいのか言葉で伝えることが困難です。
その際は、ヘルプマークの裏面の確認を。
③災害時の避難を手助けする
発達障害がある方は、災害時に状況がつかめず、立ち往生してしまう場合があります。
体に障害があれば、素早く避難することができません。
声をかけて誘導したり、避難する手助けをしましょう。
まとめ
つらそうな人、困っている人を見たとき、「勘違いだったらどうしよう」「声をかけなくてもいいかもしれない」と思って、声をかけないことが多いですよね。
ヘルプマークは、まわりになかなか理解されない病気を周知し、援助してもらいたいと伝えるためにあります。
ヘルプマークをつけている人がつらそうに見えたなら、本当に苦痛を感じているときです。
「必要ないかもしれない」とやめずに、声をかけて支援しましょう。
また、こうした必要な支援や配慮に対するツールとして、「サポートブック」や「就労パスポート」があります。
こうしたツールの理解もしながら、障害や疾患のある方が生活しやすい社会を作っていけるといいですね。
ナゴヤでしょ!TV
simpleshow Japan制作動画「ヘルプマーク-サポートの第一歩は知ることから」