Googleの社員教育にも取り入れられたマインドフルネス。

記憶力やワーキングメモリが向上したり、感情が豊かになったり、免疫力・ダイエット・アンチエイジング、さまざまな効果が報告されていますね。

まさに、ひとつで「人生を変える」習慣です。

けれど効果がスゴすぎてその根拠は?正しい方法は?と疑いたくなる人もいるでしょう。

マインドフルネスとはなにか、脳科学的に証明された効果や正しい方法をご紹介します。

マインドフルネスとは?

坐禅を組んで超集中。

心を「無」にすること。

多くの人がイメージされるものとはちがいます。

心は雑念だらけで「無」は一般の人にはほぼ不可能。坐禅は絶対しなくていけないのではなく、ただの手段です。

ではマインドフルネスとはどういうことなのでしょうか。

「今ここ」に集中すること

大切なのは「今ここ」に集中することです。

「今ここ」に集中していないと、将来のことを考えて不安になったり、過去のイヤなことを思い出して苦しんだりしてしまいますね。

そして人生の重要な選択ができなかったり、作業の効率が下がったり、トラウマにとらわれて人生そのものが変わってしまう人もいます。

マインドフルネスとは、今の状況と関係ない「思考」をやめることです。

「今ここ」の一点に集中し、脳の過剰な働きをへらして、目の前のことに脳、時間、体力すべてをかけます。

自分の状況を客観的に見る

マインドフルネスは食べながら歩きながらでも可能です。

食事中は食べ物がのどを通る感覚や味に集中。

散歩中は風の感触や目の前に集中する。

どちらも「今」に集中しているので、マインドフルネス状態です。

慣れていくと、自分の体や心にも意識を向けることができます。

過去のことや未来のことを考えても、「自分はこのように考えているのだ」と自分を客観的に見られます。

怒ったとき、悲しんだときも客観的に考えることができ、物事にとらわれにくくなります。

多くの成功者は物事にとらわれず、自分の夢や目標に全力ですよね。

これがマインドフルネスの目指すところです。

習慣化することが大事

長い人生で積み上がった思考を変え、行動を変えるということなので、数日では不可能です。

マインドフルネスは「心と脳の筋トレ」。

筋トレと同じく、完全に習慣化して数か月、数年と続けていかないといけません。

行動が完全に習慣化するのは「66日」とされています。

66日!長いと思われた方はまず21日やりましょう。

これは「インキュベートの法則」と言って21日間同じことをやれば苦痛がなくなると言われています。

苦痛がなくなれば続きます。

そして、次に66日間、自分が続けられそうな時間や方法を考えてみてください。

仕事や家事が忙しければ2分3分でもいいですし、通勤中やお風呂のあいだにおこなう方法もあります。

無理のない範囲でおこない、毎日欠かさないようにしましょう。

マインドフルネスの脳科学的に証明された効果

脳は筋肉と同じで、使ったぶん発達して、構造が変わります。

2005年の実験より、マインドフルネスを約9年間おこなった人の脳を調べたところ、「脳が変化した」という報告がたくさん挙がりました。

別の実験でも脳の変化が見られています。

「自己概念」を司る部分が変わる

「自分はこういう人間だ」と自己認識をする場所が背内側前頭前野です。

マインドフルネスをすると、この場所が増大することがわかりました。自分自身のとらえ方が変わったからだとされています。

さらに耳の上あたりにある「側頭頭頂接合部」も大きく変化したという報告もあります。

思いやりや慈悲、共感など優しい気持ちを司る場所です。

マインドフルネスをすることで、自分自身や心を変えられるということが明らかになっています。

ストレスの感じやすさを表す偏桃体が小さくなる

脳の偏桃体はストレスを受けたり、ネガティブな感情をもつほど肥大化します。

そして大きくなるほどストレスを感じやすくなったり、攻撃的になったり、マイナス思考に。

偏桃体が小さいと、ストレスを受けにくく、ポジティブ思考でいることができるようになります。

ストレス状態の26名におこなった実験結果では、8週間マインドフルネスを体験しただけで、被験者たちの脳の偏桃体は痩せてスリムになっていました。

記憶や情動を司る海馬が増大する

海馬は記憶や情動のコントロールをしており、トラウマとも関係する場所です。

海馬に蓄えられた記憶は不安定で、突然に思い出されることがあります。

そして思い出したくない!と感じると、イヤな記憶として再び海馬に蓄えられます。

これをくり返して、いつまでも忘れられず、ネガティブな感情に悩まされます。

海馬の中の記憶を消すには、海馬を発達させて新しい細胞を生まれさせることです。

新しい細胞が入ってくると、古い記憶をもつ細胞が死に、海馬から追い出されます。

イヤな記憶をどんどん忘れられて、前向きに生きていくことができるということです。

新しい記憶を吸収しやすくなること、つまり記憶力のアップにもつながります。

また海馬は約30秒ぐらい持続する短期記憶(ワーキングメモリ)にも関わっています。

海馬が発達して大きくなると、作業中に必要な記憶を維持することができるようになります。

「モノを取りに行ったら、なにを取りに行ったのかよく忘れる」

「ケアレスミスが多い」

とお悩みなら、マインドフルネスを実践してみましょう。

マインドフルネス瞑想のやり方は?

記憶力が上がり、心身ともに向上するマインドフルネス。

初心者の方は一点に集中するマインドフルネス瞑想から始めましょう。

誰でも簡単にできる方法なので、もしお子さんがいらっしゃるなら、一緒におこなうのもいいですよ。

大事なポイントは3つです。

①姿勢を整える

姿勢で集中力や瞑想の効果に影響が出てしまいます。

お腹を突き出すようなイメージで背筋を伸ばしましょう。

背筋が伸びると、横隔膜がしっかり動きます。

脳に酸素をたくさん送り込めるようになるので、集中力が高まり、瞑想の効果をより感じられます。

腰が弱い人はムリをせず、呼吸が楽な姿勢をとってください。

②呼吸を意識する

1回の呼吸に10秒以上かけて、ゆっくりおこなうことが理想です。

長く息を吸うのが苦しい人もいるので、息を吐くほうを長めにしましょう。

4秒かけて吸って、6秒かけて吐く。

5秒かけて吸い、7秒かけて吐く。

呼吸の回数を1分間に4回から6回にします。

③注意をコントロールする

瞑想をおこなっているあいだは、空気が肺に入る感覚、吐き出す感覚に集中します。

息を吸うと胸またはお腹がふくれます。

自分の体を見て呼吸を意識するのもよいですし、カウントするのも問題ありません。

1、2、3…と頭の中で数えます。慣れてきたら呼吸に集中するようにしましょう。

瞑想中、音が気になったり、昨日のテレビを思い出したりするかもしれません。

注意がそれたときは、すぐに呼吸へ意識を戻します。

呼吸と雑念を行ったり来たりしながら集中力を高めていきます。

段々と注意をコントロールすることができるようになるでしょう。

まとめ

マインドフルネス瞑想は、姿勢・呼吸を整え、注意力をコントロールすることが大事です。

脳科学的に証明された効果があり、習慣化すると、あなたの脳、心と身体がどんどん良い方向へ変わっていくのを感じるはずです。

1日5分。スキマ時間をつかって、毎日続けてみてください。

参考書籍

●マインドフルネス 仏教瞑想と近代化が生み出す、心の科学の現在形(別冊サンガジャパン3)メンタリストDaigo、熊野宏昭など著
●Googleのマインドフルネス革命  サンガ編集部著