障害のある方が外出をするとなると、心配になってしまう人も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

困ったことはないのだろうか?

付き添いの人は本当に必要ないのだろうか?

助けが必要なのか?などなど疑問も多いことですね。

今回は、障害者が一人で外出すること、現状・支援など含め、ご説明します。

障害者の一人での外出の現状

「一人で外出できる」という障害者は約4割

厚生労働省による「平成28年 生活のしづらさ等に関する調査」では、つぎのような結果が出ています。

65歳未満の障害者手帳をもっている人たちに、出かけるときに支援が必要かどうか調査したところ、「いつも一人で外出できる」と答えた人が全体の約4割でした。

障害者手帳の種別ごとにあらわすと、

・身体障害者手帳 …46.8%

・療育手帳 …22.0%

・精神保健福祉手帳 …42.6%

身体障害者手帳は身体障害のある方、

療育手帳は知的障害のある方、

精神保健福祉手帳は、精神病や発達障害も含めます。

知的障害があると一人で外出はやはりむずかしいですね。

発達障害者や身体障害者は、お店の利用のし方がわかること、自身で対策できることが大きいでしょう。

65歳以上の障害者は、「外出時に支援が必要」と答えた人が全体の5割。

「いつも一人で外出できる」と答えた人はどの障害もあまり変わらず、約3割でした。

高齢になると、障害にくわえて、老化による体力・集中力などが低下するので、障害ごとに差はなく支援が必要です。

障害者の一人での外出に決まりはある?

2016年から施行された障害者差別解消法には、「障害だから」という理由で、出かけたり、施設を利用することを禁止してはいけないとあります。

障害者本人や周囲が出かけられると思えば、一人で出かけることができますし、公共機関やお店を利用することもできます。

一人で外出できるかどうか、明確なものとしては、精神保健福祉手帳の等級基準には記載があります。

精神保健福祉手帳の等級2級、3級の方は「一人で外出が可能」という判断です。

障害者の一人での外出における動き

しかし、一人で外出をさせるのは心配だという保護者の声もありますし、障害者本人も、一人で出かけることに不安を感じている方が多いです。

そこで、障害者の外出を支援する動きやサービスもまとめました。

ヘルプマークの導入

赤いカードに白抜きでハートとプラスの形が見えるものを、ヘルプマークといいます。

このヘルプカードは、「自分は障害者であり、助けを求めています。」ということを伝えています。

さらに、裏面には自分の障害や支援してほしいことについて書くメモ欄があり、緊急時に助けを求めやすくなっています。

もともとは、見た目ではわからない障害をもった人が、まわりに支援を求めるために作成されました。

けれど、ヘルプマークの配布は、目に見える障害の人でも誰でも対象です。

そのため、「障害をもっていて、万が一の時に助けてほしい人」も主張できるようになり、障害者の人の中には、このヘルプマークをもっていくことで安心して

出かけることができるようになったという声もあります。

サポートタクシー

車の運転や公共機関の利用がむずかしい方へ、外出の機会を提供するため、タクシー利用の助成があります。

お住まいの市役所の福祉課に利用者登録をし、利用登録証を発行してもらうと利用が可能です。

なお、申請方法や、利用条件、1年に利用できる回数、補助してもらえる金額は市役所によってちがいます。

お住まいの市役所のホームページを確認してみましょう。

移動支援事業

障害者自立支援法にしたがって、市区町村の役所が実施している事業です。

一人の外出がむずかしい障害者に、ガイドヘルパーを派遣して外出を助けます。

個別支援型や車両移送型などがあります。

個別支援型は、1人の障害者に1人のガイドヘルパーが付き添うかたちです。

車両移送型は、車での送迎を日中おこなってくれるサービスです。

外出する先は決まっていて、

①病院や区役所、買い物など社会生活に必要な用件

②美術館、ジム、カラオケやコンサート、レジャーなど生活の質をを充実させるもの。

外出先として利用できないのは、会社の出張など収入に関わること、政治活動や、パチンコ店・競輪場など公費に負担をかけるのにふさわしくないところです。

また、ヘルパーを連れての旅行はできません。

利用条件は、障害者手帳をもっていなくても、外出に支障が生じていて、市区町村が定める基準を満たしていれば可能です。

不安に思いながら外出している方、外出したいけど障害ゆえにできないと思っている方、こういったサービスの利用を考えてみてはいかがでしょうか。

移動支援事業に関しては、下記の記事を参考にしてください。

まとめ

障害者の一人での外出はやはりむずかしいところです。

しかし、国の方針としては差別するものではなく、援助であったり、生活の質の向上を目的に、外出の支援を積極的におこなっています。

障害者の方はぜひこういったサービスを利用して、外出への不安や遠慮を無くしてほしいです。