自分は「頭が悪いんだ」と思っていませんか?

仕事を頼まれていたのに、別の作業をしていたらスッポリ抜けていた。

資料をとりに行ったのに、何をとりに行ったのか忘れてしまった。そして、思い出しているうち、どんどん仕事が遅くなる。

うまくいったー!と思った日にも、なにかミスが起きている。

このようなことが続くと、まわりの評価も下がりますし、自信を失ってしまいますね。

けれど、決して「頭が悪い」わけではありませんよ。

ケアレスミスをするのは理由があり、改善できる方法もあります。

ワーキングメモリを鍛えることです。

ワーキングメモリとはなにか、ワーキングメモリの鍛え方をご説明します。

ワーキングメモリとは脳のメモ帳

記憶しながら、行動をともなうときに働くのが「ワーキングメモリ」です。

数秒~数分の短い間に、必要な情報を覚えて、頭の中の記憶から適しているものを選び、行動にあらわします。

たとえば、以下のようなときに使われます。

・必要な物をとりに行動して、物をとって帰ってくる。

・資料に書いてあるものを記憶して、その場でメモをとる。

・計算問題を見て、答えを導き出して書く。

・相手の話を聞き、返事をする。

ワーキングメモリが弱いと、必要な情報を覚えておくことができないので、計算問題も相手の話も覚えられません。

とくに、ADHDの人は生まれつき、ワーキングメモリが弱い傾向にあります。

ワーキングメモリを鍛えるには?

ワーキングメモリは通常、15歳まで伸びます。それ以降は維持、老化とともに弱くなっていきます。

では、弱くなるのを抑えるには、どのようにしたらよいでしょうか?

科学的に証明された4つの方法をご紹介していきます。

①Nバック課題

Nバック課題はワーキングメモリの研究で積極的におこなわれている方法です。

ADHDの子どもの多くにも効果があらわれました。

①「1番目にチョキ、2番目にグーを出します。
すべて勝ってください」と伝えられます。

②1番目はチョキを出すとわかっているので、あなたは勝ち手のグーを出しますね。

そして、2番目にグーが来るので、「次にパーを出すと勝つ」と覚えています。

③そして、「2番目にパーを出します」といわれたあとに、ジャンケンをして相手はグーを出します。

そこで、勝ち手のパーを出しながら、「その次はチョキを出せば勝つ」と記憶します。

Nバック課題とは、出された課題のうち、N個前の課題を答えます。

たとえば、Nバックを用いたジャンケンで、2個前の課題に答えるとします。

この繰り返しをします。

このように、「2番手先のことを頭にいれながら、2番前の課題の答えを出す」のが、Nバック課題です。

Nバック課題に慣れてきたら、2重Nバック課題をしましょう。

より効果が強い脳トレです。

2重Nバック課題では、視覚と聴覚など、2つの刺激をあたえます。

「2個前に表示された図形と一致したらボタンを押してください。」と並行して

「2個前に聞こえたものと一致したらボタンを押してください。」といわれます。

順番に図形が表示されたり、音声が流れます。

どちらも2個前のものと一致したとき、ボタンを押します。

とてもむずかしく、集中する作業なので、やりすぎても脳を疲れさせてしまいます。

1日30分ほどおこなうのが理想的です。

無料の脳トレアプリにも使われているので、ぜひ試してみてくださいね。

②十分な睡眠をとる

脳が疲れると、ワーキングメモリの働きが弱まることがわかっています。

脳を休めるためには、十分な睡眠が大切。

その目安は7~8時間とされていますが、朝起きたら疲れている、寝た気がしない場合は十分にとれていません。

睡眠時間と同じぐらい大切なのは「質」です。

夜寝る前にスマホやパソコンを見ない。

寝る前に食べない。

寝る2~3時間前には部屋を暗くする。

十分な睡眠時間とともに、睡眠の質を上げるようにしましょう。

③料理をする

ワーキングメモリは、前頭前野をおもに使って働きます。

2014年「脳科学的アプローチによる調理をすることの効果に関する研究」より、

献立から料理を完成させるまでの主婦の脳の働きを調べたところ、「料理の献立をつくる、炒め物を切る、炒める」すべての料理手順で、前頭前野が活性化していることがわかりました。

作り方を覚えて実践したり、1つの料理をつくっている間に別のことをする。

料理はワーキングメモリを鍛えるのに、とてもよい作業です。

一人暮らしの人は自炊できて節約にもなるので、一石二鳥ですね。

④マインドフルネス瞑想

1日5分でも、ワーキングメモリを十分に高められるとされています。

その名の通り、背筋を伸ばして座り、目を閉じて自分の呼吸だけに集中します。

瞑想中、頭は働いていないわけではなく、むしろ何かしているときよりもすごく働きます。

何かしているときは、その何かにたいしてだけ考えればいいからです。

何もしていないとき、脳は「準備をしなくては」とあらゆるところを働かせます。

記憶を整理したり、脳機能を向上させたり。

すると、瞑想から覚めたとたん、爆発的に記憶力や思考力が上がります。

もちろんワーキングメモリも広がります。

まずは5分間、集中してみましょう。

まとめ

ワーキングメモリを鍛える確かな方法を4つまとめました。

①Nバック課題を1日30分ほどする

②質よし・時間よしの十分な睡眠をとる

③料理をする

④1日5分から、マインドフルネス瞑想をする

ワーキングメモリを鍛えられると、仕事のミスがへりますし、集中しやすくなります。

「仕事ができない」という不安や罪悪感から解消されるはずです。

1日に脳を鍛える時間を少しつくって、実績を上げて、自信を取り戻しましょう!