Polaris教室(ポラリス)は愛知県豊田市で発達障害の子どもを対象にした放課後等デイサービス事業所です。

お子さんの課題に合わせたプログラムと環境によりお子さんのできることを増やすサポートをしています。

今回は、Polaris教室(ポラリス)で実際に行っているプログラム「ソーシャルスキルトレーニング」を詳しくご説明したいと思います。

このプログラムはお子さんの対人技能を育む目的として、独自にアレンジをしております。

このソーシャルスキルトレーニングのプログラムを得て身に着けたスキルを日常生活で活かすことで成功体験が増え、お子さんのコミュニケーション力を育み、将来的な就労に必要とされる「社会性」に繋げていきたいと考えております。

ソーシャルスキルトレーニングとは

基本的にソーシャルスキルトレーニング(SST)は、「コミュニケーションのコツ」を練習する場です。

少人数グループでの討論や日常生活で起こりえる対人関係の場面のロールプレイによって、コミュニケーションを学ぶ方法です。

あくまで練習する場であるため、ソーシャルスキルトレーニングプログラムに参加するだけで、コミュニケーションが上手になる!というものではありませんが、取り組み方で効果は大きく出る傾向にあります。

ソーシャルスキルトレーニングプログラムの流れ

1

プログラム内で練習する

2

実際の場で使ってみる

3

上手く行った!褒められた!

4

自己肯定感が向上する

5

今後もやろう!(身に付く)

この中で一番大事になってくるのは、実際の場面で使ってみた時に上手く行く事、またそれを周囲の人に褒められる事です。

自己肯定感が高まると、自信をもって他者と関わる事が出来ます。

ソーシャルスキルトレーニングプログラム参加後に、プログラムで練習したスキルを使っている場面を見かけたら、しっかりと褒め認めていく事が大切です。

ソーシャルスキルトレーニングプログラムは、強制されて参加しても全く効果がありません。

本人が少しでも「参加してみたいな」と思って参加する事で効果を発揮します。

また「参加したい!」と思ってもらえるような工夫も必要となり、基本的には子ども達がとても楽しく過ごせるようにプログラムを構成します。

また、参加していても途中で「嫌だな」と思ったら退席しても、発言しなくても構いません。

強制されることで、自己肯定感は高まるどころか下がってしまい、SST自体嫌いになってしまうとコミュニケーションがより苦手なものになってしまうかもしれません。

Polaris(ポラリス)教室のソーシャルスキルトレーニングの特徴

前述のように、ソーシャルスキルトレーニングは 本人が少しでも「参加してみたいな」と思って参加する事で効果を発揮します。

そのため、ポラリスのソーシャルスキルトレーニングでは、参加する人が誰でも楽しく参加できるように工夫がしてあります。

ウォーミングアップ

まずソーシャルスキルトレーニングプログラムではどこでも「ウォーミングアップ」というものを取り入れることが多いです。

「アイスブレイク」と呼ばれることもありますが、簡単にいうと緊張をほぐすために行うものです。

ウォーミングアップでは、楽しいゲームを行いみんなの緊張をほぐして発言しやすい雰囲気を作ります。

このウォーミングアップをやるかやらないかでは、その後の発言率は大きく異なります。

また、ただ楽しく面白くやる事も大切なのですが、ゲームによっても色々なスキルが使われています。

その回のテーマに沿ったゲームを選択する事で、ただ遊んでいるだけに感じるゲームでもコミュニケーションの練習になったりします。

例えば「伝言ゲーム」の中にも「聞くスキル、話すスキル、声の大きさを調節するスキル、パーソナルスペースを考えるスキル」等様々なソーシャルスキルが使われています。

Polaris(ポラリス)教室のソーシャルスキルトレーニング参加ルール

ポラリスでは、ソーシャルスキルトレーニングに参加する際のルールを決めて、プログラム前に確認するようにしています。

ルールの1つとして、「良いとこ探し」をします。

他の参加者の意見が自分と違っていたりしても、決して誰も否定したり責めたりしてはいけません。

その他にも…

・答えたくない時は「パス」と言っても良い。

・みんなの良いところを褒めましょう。

・他の人が話している時は静かに聞こう。  

などいくつかのルールを設けています。

このルールをわかっていても毎回始める前に確認する事で、穏やかで楽しいプログラムを継続する事が出来ます。

テーマについての動機づけ

「動機づけ」とは、このスキルを身に付ける事でどんなことがいい事があるのか?

身に付いてないとどうなるのか?などの効果を子ども達に分かりやすく説明します。

具体的には、最近あった事例やスタッフの体験談を交えて話すと伝わりやすいです。

モデリング

動機付けが出来たら次はモデリングをします。

モデリングの方法は参加する子ども達に合わせて変えています。

1.100%正しい方法を教える(なぜそうするのかもしっかりと説明しなければなりません)

2.正解だと思うのを選んでもらう。(2~3択から正しいと思うものを選んで、なぜそれを選んだのかも質問する)

どうしたら良くなるかみんなで話し合いながら考える(悪い例を見せて、そこから良い見本をみんなで作っていく)。

一番上の物が一番易しく、一番下になるほど難しくなります。

ポイント

悪い例を見せる際に、楽しませようとふざけすぎてしまうと悪い例のみが印象に残り良い見本が身に付かなくなってしまう事がありますので、注意が必要です。

この時良い見本を作るにあたって、ポイントを整理しておくと子ども達が次のステップに進みやすくなります。

例:あいさつの練習の場合

1.にっこり笑顔で(笑顔のイラストも用意します)

2・相手の顔を見て

3.「こんにちは」と元気に言う

このように、話し合った内容を箇条書きにまとめたり、イラストを用いたりすると理解度を増す事が出来ます。

リハーサル

次にリハーサルを行います。

リハーサルではモデリングで見た正しい見本を今度は子ども達に練習してもらいます。

ロールプレイ(役割演技)というものが一般的で、実際にあった場面や、ありそうな場面を想定して演技をします。

演技をするにあたって、モデリングで整理したポイントをふまえて台本を用意してあげると、難易度は下がります。

また、相手役はスタッフが行い、上手く出来た時とそうでない時で対応を変えてみる事でフィードバックにもなります。

ポイント

・ロールプレイの際の最大の注意点として、非言語スキル(表情や身振り手振り)についても練習する事です。
コミュニケーションでは言葉だけではなく、表情や手の動き、目線もとても重要になります。

・台本を用意すると読むだけになってしまいがちなので、セリフを準備する事は重要ですがアドリブを入れてもOK!自分なりの言葉でいいよ!と参加している子ども達に伝えます。

フィードバック

そして最後に一番大事なのはフィードバックです。

「正のフィードバック」とは褒める事ですが、ソーシャルスキルトレーニングにおいて一番重要なのは良いところを見つけて褒める事です。

最後に上手く出来た点、良かった点、頑張っていた点をしっかりと子ども達に伝えるようにしています。

また、最後だけではなく途中でも「素敵だな」と思った発言や行動があった際には、必ず伝えます。

しっかりと伝わるよう、「大げさかな?しらじらしいかな?」と思うくらいにやります!!

「褒める事」はスタッフからだけではなく、参加している子ども同士でも行います。

「他の子を褒めて!」と言っても、どうやって褒めたら良いのかわからないかもしれません。

そこでポラリスでは褒めルールを作っています。

素敵な言動をした子には、みんなで親指を立てて「イイね!」と言います。

みんな同じ方法で褒められる事で、褒められたという事が伝わりやすくなります。

修正フィードバック

また「修正フィードバック」というものもあります。

必ず正のフィードバックをした後に、「あと少しで達成できそうな、修正すべき点」を伝えます。

褒められた後に伝える事で、「やってみようかな」という気持ちになり、またそれを実践して上手く出来なくても、チャレンジした事を必ず褒めます。

まとめ

こうした流れでソーシャルスキルトレーニングは行われています。

大切なポイントとしては、このソーシャルスキルトレーニングプログラムを通してコミュニケーションの取り方を楽しく学んでもらい、それを日常生活でもおこなうことによって成功体験を身に着けてもらい、自己肯定感を向上することです。

また冒頭でも述べたように、プログラム自体は練習の場であり、実際に使えるようになるには生活の場での周囲の対応が重要になるため、放課後等デイサービスのスタッフはもちろんのことご家庭や学校の協力も重要になってきます。

こうしたソーシャルスキルトレーニングを繰り返すことで、お子さん一人一人の社会性を伸ばしていきます。