投稿日:2021.01.28 最終更新日:2026.05.27
発達障害の子が「身だしなみ」を整えられない理由と、将来のデメリット・改善策
「毎日同じ服を着たがる」
「寝癖がついたままでも平気で学校に行こうとする」
発達障害や知的障害のあるお子さんを育てていると、このような「身だしなみへのこだわり」に悩む保護者の方は少なくありません。
日本では、身だしなみが整っていることが「ビジネスマナーの基本」として強く求められます。
どんなに仕事の能力が高くても、身だしなみができていないだけで、本来の能力を発揮しづらく、正当に評価されないのが現実です。
今回は、身だしなみに気を配れない状態のお子さんが、そのまま大人になってしまった場合のデメリットや、なぜ身だしなみが整えられないのかという理由、
そしてご家庭や施設でできる「具体的な改善策(ライフスキルトレーニング)」についてご紹介します。
目次
なぜ、身だしなみに気を配れないのか?
発達障害や知的障害のあるお子さんが身だしなみに気を配れないのには、単なる「怠慢」や「だらしなさ」ではなく、特性による明確な理由があります。
1. 他者への関心が薄い(客観視の苦手さ)
自閉スペクトラム症(ASD)などの特性により、「他人が自分をどう見ているか」という客観的な視点を持つことが苦手なケースです。
「他人の目を気にしない」ため、身だしなみを整える必要性を感じにくいのです。
2. 感覚過敏がある
「服のタグがチクチクして痛い」「整髪料の匂いが気持ち悪い」といった感覚過敏から、特定の決まった服(着心地の良い服)しか着られなかったり、髪を梳かされるのを極端に嫌がったりします。
3. こだわりやルーティンの強さ
「この服を着ないと落ち着かない」という強いこだわりから、季節に合わない服を着続けたり、汚れていても着替えを拒否したりすることがあります。
そのまま大人になってしまう「3つのデメリット」
身だしなみが整っていないまま大人になってしまうと、社会生活(特に就労面)において大きなハードルが立ち塞がります。
1. ビジネスマナーがないと判断され、信頼を失う
仕事の現場では、靴が汚れていたり、スーツがヨレヨレだったり、髪がボサボサだったりすると、「この人は仕事も雑なのではないか?」とネガティブな印象を与えてしまいます。
どれほど真面目に働いていても、外見の清潔感がないだけで「信頼できない人」というレッテルを貼られてしまうのです。
2. 「日常生活が乱れている」と見なされる
毎日決まった時間に身なりを整えて出社(登校)することは、生活リズムが安定している証拠です。
日によって服装や清潔感に大きなバラつきがあると、職場の人から「自己管理(健康管理)ができていない」と判断されやすくなります。
3. 大人になるほど指摘してもらえない
子どものうちは親や先生が「シャツが出ているよ」「髪をとかしなさい」と注意してくれますが、大人になると、他人の身だしなみを直接注意してくれる人はほとんどいなくなります。
誰にも指摘されないまま、裏で評価を下げられ、孤立してしまう危険性があります。
だからこそ、注意してもらえる「子どものうち」に習慣化させることが非常に重要なのです。
身だしなみを改善するための具体的なアプローチ
では、身だしなみに気を配れるようになるためには、どのような改善策があるのでしょうか。
保護者自身が見本(モデリング)となる
「親は子どもの鏡」と言われるように、子どもは親の行動をよく見ています。
まずは、保護者の方がキチンと身だしなみに気を配れているか、毎朝鏡の前で身支度をする姿を子どもに見せているかを確認してみましょう。
「一緒にお顔を洗おうね」「髪をとかすと気持ちいいね」と、親御さんも一緒に楽しみながら取り組むことが第一歩です。
写真やイラストで「見本」を視覚化する
「綺麗にしなさい」「身だしなみを整えなさい」という抽象的な言葉は、発達障害のお子さんには伝わりにくいです。
「出かける前のチェックリスト」をイラストで壁に貼ったり、正しい服装の見本となる写真を玄関に置いたりして、「どうなっていれば正解か」を視覚的にわかりやすく示してあげましょう。
ポラリス教室での「ライフスキルトレーニング(LST)」事例
家庭での声かけだけではなかなか習慣化できない場合は、放課後等デイサービスなどでライフスキルトレーニングを取り入れている施設を活用するのが最も効果的です。
放課後等デイサービスポラリス教室では、将来の就労を見据え、「衣食住を保つためのライフスキル」の柱として、身だしなみの実践的なトレーニングを行っています。
【改善事例:中学生の女の子】
家庭で「入浴・着替え・洗顔」の声かけをしても、なかなか習慣化できず困っているというご相談がありました。
そこで放課後等デイサービスポラリス教室では、中学生という思春期の時期に合わせて、「社会人としてのメイクや清潔感のある髪型」を学ぶ就労準備型のプログラムを提供しました。
もともと可愛いものが好きだったそのお子さんは、プログラムに非常に興味を持ち、意欲的に参加してくれました。
結果として、「自分で鏡を見る回数が増える」「自分からヘアピンで髪を整える」など、自分自身の身なりに強い興味と責任を持つように変化したのです。
このように、親から「やりなさい」と注意されるのではなく、放課後等デイサービスなどでライフスキルトレーニングを取り入れている環境で「社会のルール」として適切な機会を与えられることで、子どもは着実に身だしなみに興味を持ち、改善していくことができます。
おわりに:過度なプレッシャーはかけず、生活の質を上げる手段として
近年はリモートワークなどの普及により、服装の自由度が高い働き方も増えてきました。
しかし、画面越しであっても、あるいは近所への買い物であっても、「人に不快感を与えない最低限の清潔感」は、社会で生きていくための基本的なマナー(パスポート)です。
とはいえ、過度に身だしなみを気にしすぎて、外見に強いコンプレックスを抱いてしまうのは本末転倒です。
あくまで「自分が社会で快適に過ごすための手段(生活の質を上げるもの)」として、適度なバランスで身だしなみを整える感覚を育てていきましょう。
「何度注意しても身だしなみが直らない」「感覚過敏で着替えを嫌がる」などでお悩みの際は、ぜひ放課後等デイサービスポラリス教室にご相談ください。
お子さんの特性に合わせた最適なトレーニングを一緒に見つけていきましょう。
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