投稿日:2020.04.22 最終更新日:2026.05.18
聴覚過敏とは?原因と対策、発達障害との関係をわかりやすく解説
黒板を爪でキーッとひっかく音。
想像しただけで不快感や鳥肌を覚える方は多いのではないでしょうか。
実は、これも一種の「聴覚過敏」の反応です。
しかし、日常的に深刻な「聴覚過敏」を抱えている方は、特定の音だけでなく、赤ちゃんの泣き声やサイレンの音に強い恐怖を感じたり
人の話し声にノイズが混じって聞こえたりします。
ひどい場合は、頭痛やめまいを伴い、「耳をふさがないと生活できない」ほどの苦痛を感じることもあります。
この記事では、聴覚過敏とはどのような状態なのか、なぜ起こるのかという原因や、普段の生活でできる対策について分かりやすく解説します。
目次
聴覚過敏とは?
「特定の音に強い苦痛や不快感を感じる」、あるいは「周囲のあらゆる音が、すべて同じくらいの大音量で耳に飛び込んでくる」状態を聴覚過敏と呼びます。
単に「耳が良い」というわけではなく、音の刺激によって著しく疲労したり、頭痛や体調不良を引き起こしたりします。
症状が重いと、苦手な音を聞いただけでその場から動けなくなったり、パニックを起こしてしまったりすることもあります。
耳そのものの病気として扱われることは少なく、精神的なストレスや、脳の情報処理の特性(発達障害など)として捉えられることが多い症状です。
聴覚過敏があると、日常生活でどんな困りごとが起こる?
聴覚過敏は、本人の我慢でどうにかなるものではありません。
仕事や勉強、会話、そして睡眠など、日常生活のさまざまな場面に支障をきたしてしまいます。
① ひとつのことに集中できない
一般的な人は、自分にとって「必要な音」と「不要な音(雑音)」を脳が無意識に聞き分けています。
しかし聴覚過敏がある場合、遠くの咳払い、エアコンの風の音、パソコンの機械音など、すべての音が「同じ大きさ」で頭の中を埋め尽くしてしまいます。
そのため、目の前の勉強や作業に全く集中できなくなってしまうのです。
② 複数人での会話が難しい
会話中も、相手の声と周囲の足音などが同じ音量で聞こえてしまいます。
そのため、相手の声にうまくフォーカスできません。
さらに3人以上の会話になると、情報量が多すぎて「どの声に集中すればいいのか」が分からなくなり、話についていけなくなることがよくあります。
③ 睡眠障害をともなう
音に対して常に過敏な状態にあるため、夜も小さな物音が気になってぐっすり眠れない方が多くいます。
睡眠不足は、身体の健康だけでなく、精神的な不安定さにも直結してしまいます。
④ パニックを起こすことがある(発達障害のお子さんに多い)
常にたくさんの音が頭の中に入ってくるため、日常生活を送るだけで、慢性的な不安や強い緊張を強いられています。
そのストレスが許容量を超えたり、どうしても耐えられない不快な音を聞いたりすると、
感情が爆発し、泣き叫んだり、音の出どころに対して攻撃的になってしまったりすることがあります。
聴覚過敏の原因とは?
聴覚過敏が起こる完全なメカニズムは、まだすべてが解明されているわけではありませんが、主に以下のような原因が考えられています。
1. 発達障害(脳の情報処理の特性)
発達障害の方には、生まれつき特定の音に強く反応したり、すべての音がフィルターを通さずに脳へ入ってきたりする特性を持つ方が多くいます。
赤ちゃんの頃、特定の音に一人だけ激しく泣いてしまうような様子が見られることもあります。
ただし、発達障害があれば必ず聴覚過敏になるわけではなく、逆に感覚がとても鈍い(鈍麻)ケースや、「大きな音は嫌がるけれど、黒板の音は平気」など、過敏になる音の種類も人によって全く異なります。
2. うつ病やPTSDなどの心的要因
過度なストレスやトラウマが原因で、聴覚過敏を引き起こすことがあります。
ストレスを感じた出来事に関連する音に、強い苦痛を感じるようになります。
3. 耳の疾患(騒音性難聴やメニエール病など)
「聴覚補充現象(リクルートメント現象)」といって、ある特定の音が健常な人よりも異常に響いて聞こえ、苦痛を伴う耳の障害です。
4. 外的要因(顔面神経麻痺など)
耳の奥にある「あぶみ骨」には、必要以上に大きな音が聞こえないよう調整する機能があります。
顔面神経麻痺などでこの機能が働かなくなると、過剰に音を拾ってしまいます。
普段の生活でできる対策・サポート方法
耳の疾患が疑われる場合は耳鼻科へ、精神的な要因や発達障害によるものと感じる場合は心療内科や児童精神科への相談をおすすめします。
その上で、普段の生活では「耳に入る刺激(音)を減らすこと」と「安心できる対処法を見つけること」が重要です。
イヤーマフや耳栓を活用する
周囲の音を物理的に遮断することで、穏やかに過ごせる時間が増えます。学校や職場で「ふざけている」と誤解されないよう、「聴覚過敏保護用シンボルマーク」を活用するのも効果的です。
▶ おすすめのイヤーマフの選び方は[発達障害・聴覚過敏の子どもを守る「イヤーマフ」の選び方とおすすめ]をご覧ください。
苦手な音・人が多い場所を避ける
人が集まる場所は、話し声やBGMなど許容量を超える音であふれています。
パニックを防ぐためにも、体調が優れない時は無理に行かない選択も大切です。
心地よい音(音楽など)で上書きする
「特定の不快な音」を防ぐために、自分が心地よいと感じる音楽や環境音をイヤホンで聴き、ストレスを和らげる方法もあります。
リラックスできる「静かな逃げ場」をつくる
ストレスや疲労は、聴覚過敏をさらに悪化させます。
家や学校の中に、音が少なく、一人で落ち着ける場所(クールダウンできる空間)を用意しておきましょう。
【最重要】親子で対処法を見つけ、学校・放デイと共有する
「どんな音が苦手なのか」、そして「嫌な音がした時にどうすれば安心できるのか(例:すぐにイヤーマフをつける、静かな別室に避難する、音楽を聴く等)」を、
まずは親子で話し合って見つけることが非常に重要です。
そして、見つけたその「対処法」を、学校の先生や、通っている放課後等デイサービスのスタッフにも共有しましょう。
周囲の大人たちが連携し、「パニックになりそうな時は、こうやって身を守れば大丈夫だよ」と共通の対応をとることで、
お子さんは家庭以外の場所でも安心して過ごすことができるようになります。
まとめ
聴覚過敏は、単なる「音への好き嫌い」ではなく、頭痛やパニックを引き起こすほど深刻で苦しい症状です。
ご本人がどんな音を、どれくらい苦痛に感じているかを完全に理解することは、家族であっても難しいものです。
だからこそ、お子さん自身が安心できる対処法を一緒に探し、イヤーマフなどの防音グッズを活用して環境を整えましょう。
そして、学校や放課後等デイサービスなど周囲の大人たちと連携し、温かく配慮していくことが何よりも大切です。
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聴覚過敏などの感覚の偏りは、周囲からは見えにくいため、親御さんもお子さんも、日々たくさんのストレスを抱えていらっしゃると思います。
ご家庭だけで抱え込まず、私たちがどんな想いで子どもたちと向き合い、サポートしているのか、ぜひ一度「ポラリスの原点」をご覧ください。
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